pinkは「ピンク色の」。slimeはどろどろ、ねばねばしたものを指す。ヘドロのことを言う場合が多い。その連想から、悪臭がするものや嫌なものを意味しslime ballといえば「嫌なやつ」。悪いニュアンスを持つ言葉。そこで、pink slimeは「ピンクのどろどろ」のイメージだ。何のことか?
Pink slime は、正式には lean finely textured beef (LFTB) またboneless lean beef trimmings (BLBT) という。Leanはやせて、筋張っているという形容詞であるが、ここでは名詞で赤身肉。LFTBは赤身肉を粉砕した牛肉で、BLBTは骨のない赤身牛肉を粉々にしたもの、という意味。
アメリカでは、これらはground beef(牛挽肉)のfood additive(食物添加物)とか、inexpensive filler(安い増量剤)に使われているという。
その製造過程は、熱で脂肪分を溶かして赤身を分離するが、The recovered beef material is then processed, heated, and treated with ammonium hydroxide gas or citric acid to kill E. coli, salmonella, and other bacteria.(外した肉は加工、加熱そしてO157やサルモネラ菌やその他のバクテリアを殺菌するために、水酸化アンモニウムやクエン酸を使って調理される)点である。これを冷凍してブロックにして販売し、挽肉に添加している。20年以上前から続いてきたという。
ところが、ABC放送は今年3月に、70 percent of ground beef sold in U.S. supermarkets contained the product(スーパーで売られている牛挽肉の70%にこれが含まれている)と報じて騒ぎになった。実は、水酸化アンモニウムは、米国以外のカナダ、イギリス、EUなどで食品への使用を禁止しており、それらの国ではpink slimeの輸入は禁止されているという。
クリスチャン・サイエンスモニター(3月27日付)は、'Pink slime': Health crisis or misunderstood meat product?(ピンク・スライムは健康危機か誤解された肉製品か)と報じ、メーカー側は、水酸化アンモニウムの使用は安全に全く問題ないとしているが、問題は消費者が買うかどうかだ?
この騒ぎで、“The name pink slime is really just a hopeless PR problem”(ピンクのどろどろという名前は、絶望的な逆宣伝になってしまっている)という。つまり、誰が最初にいったのか、ピンクのどろどろなどとみんなが呼ぶようになり、その言葉が広まり、消費者は気持ち悪がって購買意欲はなくなりつつあるという。とくに、挽肉を大量に使うハンバーガー・ショップをはじめとするレストランでは相次いで、pink slime free( ピンク・スライムは使いません)を表明、そして学校給食をどうするか、重大な岐路に立っているという。
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