Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
anti-は、カタカナ読みで「アンタイ」とか「アンティ」で、「反対の」という意味の接頭辞。austerityは形容詞austere(厳格な、耐乏の)の名詞形で「オーステリティ」。ここでは、政府の「緊縮財政」または「緊縮政策」を指す。そこで、anti-austerityは「緊縮政策反対」。
AFP通信(2012年5月1日付)は、“May Day protesters have poured into streets across Europe, swept up in a wave of anti-austerity anger that threatens to topple leaders in Paris and Athens.”(メーデーの抗議デモ参加者がヨーロッパの街という街に流れ込み、緊縮政策に反対する怒りの声が席巻、パリやアテネの指導者らを転覆させかねない)と報じた。欧州のユーロ圏ではsovereign debt crisis(国家財政の破綻による債務不履行の危機)の回避のため、ギリシャをはじめ各国が緊縮政策に転じたが、景気が一段と低迷し失業率も上昇、anti-austerity protests(緊縮政策反対の抗議デモ)を引き起こす原因となった。
このデモの影響は大きい。インターネットのニュースレター(同6日付)は、“François Hollande clubs Sarkozy in French election as anti-austerity sweeps Europe”(〝反緊縮〟が欧州を席巻、仏大統領選挙でフランソワ・オランドがサルコジをぶちのめす)と、緊縮政策を進めてきたサルコジ大統領の敗北を速報した。オランド氏は社会党の出身で、“austerity-sceptic”(緊縮政策に懐疑的)とされ、今後緊縮財政から景気刺激策へ舵を切ると見られる。英国のテレグラフ(同5日付)は、“The anti-austerity bandwagon will gain momentum if Francois Hollande is elected as president.”(フランソワ・オランドが大統領に選ばれたならば、〝反緊縮〟の流れに弾みがつくだろう)と予想。bandwagonは「楽隊車」で、jump on the bandwagonは「時流に乗る」という意味。
だが、anti-austerityが、各国の経済政策の潮流となり、再び野放図な借金財政がまかり通れば、債務危機の再燃は必至だけに、金融市場は戦々恐々だ。
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