Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
overcrowdingは「過密状態」。overは「~過ぎる」でcrowdは「混雑する」という動詞。どこがそれほど込み合っているのかといえば、prisonあるいはjail、つまり「刑務所」。prison overcrowding(刑務所の過密)は今や〝熟語〟になりつつある。
タイム誌(2011年9月29日付ウェブ版)は、“As California fights prison overcrowding, some see a golden opportunity”(カリフォルニア州は刑務所の過密と戦うが、これを絶好の機会とみる人もいる)と報じた。その中で、“The prison currently operates at 200% of its capacity; with less personal space among inmates, tensions rise, making life more dangerous for prisoners and guards alike.”(刑務所は現在、収容人員の2倍で運営されている。囚人間のスペースはより狭くなって緊張が高まり、囚人も監視人もともに命を脅かされる状態にある)と指摘。このため、州政府は囚人の教育プログラムを前倒しで行い、早期に社会復帰させる方針転換を迫られているという。これは、自由の身になりたい囚人には絶好の機会。だが、世間の風は意外に冷たく、刑務所に舞い戻る常習犯(recidivist)は後を絶たない。不況が深まる中で、米国各地のstate(州)prisonやcounty(郡)jailでovercrowdingが頭痛の種である。
ところで、prison overcrowdingは、米国だけでなく世界各地でも問題になっている。シンガポールのストレーツ・タイムズ(2011年9月6日付)は、“1 dead, 2 wounded after prison riot in Thailand”(タイの刑務所暴動で1人死亡、2人負傷)と報じた。タイ南部のパッターニー県の刑務所で、“The prison has capacity for 900 inmates but has had more than 1,300 for many years.”(長年に渡り900人収容のところに1300以上の囚人がいる)とした上で、overcrowdingが原因で囚人同士の衝突を招いたと述べている。
“The degree of civilization in a society can be judged by entering its prisons”(社会の文明の度合は、そこの刑務所に入れば分かる)と指摘したのはロシアの文豪ドストエフスキーである。
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