2013年5月3日金曜日

demise 「終わり」を表す正式の堅い表現

Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 demiseは、書き言葉として「消滅」「終焉」の正式な表現。また、君主の「崩御」や、「逝去」などdeath(死)の婉曲表現として使われる。オックスフォード英語大辞典(OED)によると、語源は古仏語のdemettreで、別の英語ではdismiss(去らせる、退出させる)。転じて王位を譲る、さらに遺された不動産を移譲することをいう。カタカナ読みは「ディマイズ」。
 米航空宇宙局(NASA)の最後のスペースシャトル「アトランティス」が2011年7月21日に帰還し、30年に渡ったシャトルの時代に幕が下りた。英BBC(7月19日付)は、“Shuttle's demise brings Titusville down to earth”(シャトルの終焉がタイタスビルを現実に引き戻す)と報じた。タイタスビルは、NASAの本拠地Kennedy Space Centerのすぐそば。シャトル計画の終わりとともに8000人以上が解雇され、シャトルの打ち上げでにぎわった地元の観光事業も大幅に縮小という。
 だが、このdemiseを“blessing in disguise”(見かけは悪そうだが実はありがたいもの)と見る人もいる。“This town is full of people who put man on the Moon and ran shuttles for 30 years.”(この町には、人類を月に送りシャトルを30年間運用した人々がたくさんいる)。“We’ll still be a part of space here.”(私たちはここでは依然、宇宙の一部なのだ)と住民は考えており、新たな宇宙プロジェクトはこの町からきっと始まると期待している。
 さて、英国ではメディア王ルパート・マードック氏傘下の日曜版大衆紙が盗聴疑惑の末に廃刊に追い込まれたが、ロイター通信(7月20日付)は、“UK's Sunday Mirror gains on Murdoch tabloid demise”(英国のサンデー・ミラー紙がマードックの大衆紙の廃刊で利益)と報じた。サンデー・ミラーは、ライバル紙の廃刊で50%売り上げを伸ばしたという。つまり、英国の日曜版大衆紙の需要は依然旺盛で 、“front-page splashes on sex and celebrity”(セックスやセレブに関する一面のケバい見出し)は〝売り〟である。新規参入を考える企業もあり、屍を乗り越えて進む…。

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