Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
カタカナ読みは「チャヴ」。英国の軽蔑語でlower-class(下層階級)に属するnon-educated delinquent(教育のない非行少年)を指す。語源研究者マイケル・クィニオン氏によると、「子供」を意味するジプシー語のchaviが語源。chavのファッションは、flashy gold jewelry(金ぴかのアクセサリー)、“prison white”(刑務所の白)と呼ばれる真っ白いトレーナー、野球帽、ブランド名の入ったスポーツ・ウェアやシューズなど。
2011年8月の初めにロンドンを中心に英国各地で起きた若者の暴動。タイム誌(8月22日号)は、“An outbreak of arson, looting and lawlessness caught Britain and its leaders by surprise.” (放火、略奪そして無法状態の突発は、英国とそのリーダーたちを驚愕させた)と報じた。だが、同誌では触れられていないが、この暴動について英国民の間では、“Chav riots”(チャヴ暴動)とささやかれた。つまり、中心となって暴れ回ったのは下層階級の非行少年というわけ。
著名歴史家のディビッド・スターキー氏は、8月12日のBBC2のニュースショウ番組で今回の暴動に触れて、“What has happened is that the substantial section of the 'chavs' have become black. The whites have become black.”(起こっているのは〝チャヴ〟の相当部分が黒人化していることだ。白人が黒人になっている)と述べ、ヒップホップなど黒人文化の浸透を指摘。“A particular sort of violent, destructive, nihilistic gangster culture has become the fashion.”(暴力的で、破壊的、ニヒルなギャング特有の文化が流行している)と語った。この発言に対して、「人種差別」との批判が多数寄せられたそうだが、それは一面において英国の金持ち保守層の〝本音〟を代弁しているようだ。
保守党のデイビッド・キャメロン首相は、“This is criminality, pure and simple.”(これは、紛れもなく単純な犯罪だ)と述べ、警察官を大量動員して“street gang”(街のギャング)の鎮圧に踏み切った。英国社会は確かに病んでいる。
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