Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
middleは「真ん中の」「中間の」という形容詞。kingdomは「王国」。固有名詞のMiddle Kingdomは歴史用語で、紀元前2000年前後の古代エジプトの「中王国時代」を指す。また、「世界の真ん中にある国」としての「中国」の直訳でformer Chinese empire(昔の中国王朝)を意味するが、近年の経済発展と国際的なプレゼンスの拡大にともない、現代中国もMiddle Kingdomと呼ばれつつある。
Energy Tribune(2013年1月29日付)は、
“The Middle Kingdom’s Offshore Oil Offensive”(中国は沖合の油田探索に積極的)と報じた。中国は南シナ会での油田開発活動に力を入れているが、“The Middle Kingdom really has no choice.” (中国には選択肢がない)と分析している。
その理由は、“China’s oil fields are maturing and production has already peaked, leading domestic companies to focus on developing largely untapped reserves in China’s Western interior and offshore field.”(中国の石油埋蔵地帯は開発し尽くして、すでにピークに達している。そこで、国内石油会社はまだ手つかずの西方の内陸部と沖合の海底油田の開発に目を付けている)という。実は、尖閣諸島をめぐる日本への攻勢も〝石油〟が目当てと指摘している。
タイム誌(2011年6月13日号)は、“China’s mining pit”(中国の鉱山採掘場)の記事で、“Since China will get even hungrier for natural resources as its economy roars ahead, Australia is likely to become more and more dependent on the Middle Kingdom.”(中国は、経済の爆発的発展にともない天然資源を貪欲に求めるようになり、オーストラリアはますます〝中国王朝〟に依存するようになる)と報じた。資源輸出国であるオーストラリアは、中国からの投資を仰いで表題のように中国の鉱山採掘場となり、どんどん輸出を拡大して好景気を迎えているが、このままでは中国経済に隷属させられるのではないかと危機感を抱いている。そこで、市場での中国の専横ぶりを皮肉ってMiddle Kingdomと呼んだ。
実際、中国の資源漁りは世界各地に及び、英インディペンデント(2011年3月2日付)も“The Middle Kingdom comes to the Dark Continent”(中国王朝が暗黒大陸にやって来る)との記事で、2000年以降アフリカで経済攻勢を強めていると指摘する。
さて、中国経済を国内で牽引するのが、改革開放で台頭するようになったmiddle class(中流層)。米国のネット新聞ハフィントンポスト(2011年5月20日付)は、“Car crazy China: where ego and anxiety collide”(車狂いの中国:エゴと心配がぶつかるところ)と報道。“Throughout the Middle Kingdom, approximately 20 million passenger cars are sold every year.”(中国では毎年約2000万台の乗用車が売れる)とした上で、中流層の狙いはステータスであり、カネの心配をしながら大型車を買いたがる、と述べる。Middle Kingdom では、middle class脱却の戦いが繰り広げられている。(2011年6月27日)
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