2011年2月2日水曜日

viral


 viralのカタカナ読みは「ヴァイラル」。元になる語はvirus(ウイルス、但し英語の発音は「ヴァイァラス」が近い)で、viralは「ウイルス性の」という意味の形容詞。だが、近ごろは、“Often used to describe the spreading of items on the Internet.”(しばしば、インターネット上で流行するネタを表現するのに使われる)。ウイルスは病原性だから、日本語の「流行った」がドンピシャ。
 たとえば、 “The video went viral.”は、「そのビデオはネット上で流行った」ということ。また、ネットで広がり、人気を集めるビデオをviral video(流行りのビデオ)と呼ぶ。You Tubeをはじめ大規模なビデオ共有サイトの登場で、プロが制作したものだけでなく、素人がデジタルカメラで撮ったビデオ映像が、しばしばブレーク。しかも、内容は一目瞭然なので、映像は一国にとどまらず、国境を越えて流行する。
 ネット上では、“Top 10 viral videos”などとあちこちでランク付けが行われていて、合言葉は、“What went viral this week?”(今週は何が流行ったのか)。そして、アクセスがアクセスを呼び、さらに人気を煽ることになる。まさに、その勢いはviralだ。
 こうしたネットの流行性を、企業が見逃すはずはない。Facebook(フェイスブック)をはじめとしたsocial network(ソーシャル・ネットワーク)などを通じてword-of-mouth(口コミ)で商品が次々宣伝されるならば、こんな安上がりなことはない、というわけで企業が研究しているのがviral marketing(ヴァイラル・マーケティング)。
 そこで、消費者として注意しなければならないのが、「ネットで人気」というキャッチフレーズ。そこには、企業側の「売らんかな」の作為があるかもしれないからだ。いわゆる、astroturfing(アストロターフィング)である。astroturfは「人工芝」を指し、動詞で使えば「本物の芝に見せかける」という意味。つまり、偽の草の根運動のこと。だから、viral thing(流行りもの)はviralだけに、思わぬvirusが隠れているかもしれない、と十分吟味してから買うことをお薦めする。
 ところで、恐ろしいのがviral rumor(ウイルスのように広がるうわさ)。ネット上に流されるうわさは、真偽を確かめるすべもなく野放しにされて、cyber bullying(ネットのいじめ)の原因にもなっている。
 そんな中、ミシガン州のレイク・スペリオル州立大学は、2011年の“List of Words Banished from the Queen’s English for Misuse, Overuse and General Uselessness”(誤用、乱用と一般的に無用のため女王陛下の英語=純正英語から排除すべき単語リスト)のトップにviralを選んだ。その批評の1つが振るっている。“This linguistic disease of a term must be quarantined.”(用語におけるこの言語学上の病気は、隔離されねばならない)The Sankei Shimbun

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