2013年2月13日水曜日

doormat  あかんたれってどう訳す?


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 door「扉」の所に敷くmat「マット」で、文字通りの意味は「玄関マット」。だが、ランダムハウスの米俗語歴史辞典によると、“a weak-willed person who is frequently exploited or dominated by others”(他人にいつも利用され、牛耳られる意思の弱い人)を指す。つまり、踏まれても黙っているからdoormatというわけ。
 この意味での使い方は、19世紀半ばの英国に始まるという。doormatは男女ともに形容するが、最近は、米国などで女性が付き合っていた彼氏と別れた理由について、“He is a doormat.”(あいつ、あかんたれ)などと批評する。
 交際するならnice guy(素敵な人、この語も今は男女ともに使う)、つまりfriendly(親切な)、unassertive(控えめな)人物というのが昔から通り相場だが、nice guyは往々にしてdoormatと紙一重であるという。“Nice guys finish last.”(ナイスガイは最後にゴールイン)ということわざがあるように、魅力的なbad boy(悪い男)に先を越されることが多い。“Why do women ignore nice guy?”(なぜ女性はナイスガイを敬遠するのか)
 近年は“doormat disease”(ドアマット病)なる病気があるそうで、nice guyと思われたいばかりに、“I should always do what others want, expect, or need from me.”(他人が自分に望み、期待し、必要とすることは、いつもしなければならない)と考え、他人の評価ばかり気にし、己を見失ってしまう人が結構いるという。だが、せっかく期待した人の評価はdoormatに…。
 “Heartless Bitches International”(心ないあばずれインターナショナル)というカナダの女性のユーモアサイトには、“Self-confident, caring, decent-hearted women find ‘Nice Guys’ to be too clingy, self-abasing, and insecure.”(自信があり、思いやりがあって、上品な女性は、〝ナイスガイ〟を、依頼心が強く、自分を卑下し、自信がないと見なす)という。間もなくバレンタインデーだが、“Doormat, Bleah!”(あかんべー)。

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