Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
米国の大学や高校では9月下旬から10月にかけて、卒業生や学生・生徒の家族も含め、地域ぐるみの〝同窓会〟ともいうべきHomecomingの伝統がある。この時期にはfootball(アメリカン・フットボール)の学校対抗試合など様々な行事があって、学生らはハメを外して騒ぐことになる。そこで、よくやるいたずらがtoilet papering。10月末のHalloween(ハロウィーン)まで、全米の校庭や家の庭(yard)の樹木にトイレットペーパーの帯が無数にぶら下がっているのをよく見かける。庭にトイレットペーパーのロールを投げるという意味で、yard rollingともいう。
“How to toile paper a house”(トイレットペーパーで家を“飾る”方法)は、まず大量のトイレットペーパーを買い込む。1人では大変な作業だし、店の従業員にそれと怪しまれるから、仲間を募ってチームを組む。ターゲットの家を下見して、門に鍵が掛かっていないか、番犬がいないかを調べておく。夜遅く、みんなが寝静まってから庭に忍び込み、一斉に家の屋根や樹木にトイレットペーパーのロールを繰り返し投げかけて、できる限り覆ってしまう。そして静かに退散する…。
10月に入ると、米国北部では早くも落葉が始まる。葉がすっかり落ちた樹木に白いトイレットペーパーの帯が無数に揺れている様子は、夜目に見るとなかなか風情があり、また少し不気味でもあって、知らない人はビックリするだろう。
だが、一般的に許容されるのは、ここまで。そこへ雨でも降ると、ターゲットの顔色が変わるから要注意。雨に濡れたトイレットペーパーはsoggy(べちゃべちゃ)でsticky(くっつきやすい)状態となり、掃除が大変だからだ。
toilet paperingは、かつては若者のいたずらとして大目にみられたが、最近では“toilet paper attack”(トイレットペーパー攻撃)などと呼ばれて犯罪の一種と見なされ、警察が捜査・介入する地域も増えている。少なくともHomecomingを迎える学校側は、地域に迷惑が及ばないようにと神経を尖らせるようになってきた。
もっとも、警察沙汰になるケースは、トイレットペーパー投げに止まらず、ペンキのスプレーで落書きしたり、物を壊すなど悪ふざけが過ぎてvandalism(蛮行)にまで及ぶケースが多いようだが、警察はこう言う。“When we do catch them we just make them clean it up.”(やつらをとっ捕まえたら、きっと掃除させてやる。) The Sankei shimbun (October 28 2007)
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