Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
tagはカタカナ読みで「タグ」、または「下げ札(を付ける)」を意味する名詞・動詞だが、もう一つは同音意義で「鬼ごっこ」を指す。語源はスコットランド方言のtigで、touch(触る)のこと。野球用語として現在も使われ、進塁の際の、いわゆるタッチアップ・プレーは、英語ではtag upだ。
「鬼ごっこをする」はto play tag。鬼に当たるのが“it”。it に選ばれた子供が他の子供を追いかけて、つかまえたら“Tag, you’re it.”(タッチ、君が鬼。)と言う。次いで、つかまった子供が鬼となって遊びが続くのは、日本も同じ。“Hide and Seek”(かくれんぼ)や“Cops and Robbers”(警官と泥棒)なども、tagと総称される。
米国の小学校では、tagはrecess(休憩時間)のplaygrounds(運動場)での伝統的な遊び。だが、USA TODAY(2006年6月27日付)は、“‘Not it!’More schools ban games at recess.”(「鬼はだめ」、休憩時間の遊びを禁止する学校相次ぐ)との記事で、ここ数年、姿を消しつつあると報じている。禁止の理由は、“It progresses easily into slapping and hitting and pushing instead of just touching.”(タッチするのが、ひっぱたいたり、撲ったり、押したりとエスカレートする)ので、学校側としては子供の安全を保証できないから。同じ理由で、ドッジ・ボール、サッカーなども〝危険な行為〟として禁止する学校が増えているという。
このような遊びを禁止している学校がどれくらいあるのか、統計はない。だが、子供の肥満が社会問題になる中で、児童教育の専門家は、こうした禁止が子供の身体の発達に悪影響を及ぼすと警告している。
一方、インターネット上では、“Blog Tag”と呼ばれる連鎖ゲームが、流行し始めている。ニューヨークのブロガーが2006年12月から始めた“A Game for a Virtual Cocktail Party”(仮想カクテル・パーティー・ゲーム)はその一つ。そこでは、自分の5つの〝秘密〟をブログで公開し、5人の友人ブロガーをリストアップしてtag、各自に自分と同じことをするように求めている。こうして、参加したブロガーを次々繋いだものが“Blog Tag Tree”(ブログ・タグの木)。これらはネットで公開されており、tagされた回数によってブロガー同士の人気を競う。
ところで、同じtagでも、ストレスが溜まるのがphone tag。電話を掛けたら相手が不在で、ボイス・メッセージを残す。すると、次に相手が電話を掛けてくる。今度はあいにく、こちらが不在で、相手のボイス・メッセージが残っている。それが繰り返される、という「電話の鬼ごっこ」。cell phone(ケータイ)の普及でなくなるかと思いきや、話し中や通話状態の不良にイライラしながら、相変わらず鬼ごっこは続く。やっと電話口で相手をつかまえた場合は、こう言うそうだ。“Tag, you’re it!” The Sankei Shimbun (November 4 2007)
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