2012年6月30日土曜日

green thumb 緑の親指とは何か?



 greenは「緑」で、thumbは「親指」。アメリカの郊外の一戸建ちに住んでみると、垣根越しなどに、隣家の人から、“Do you have a green thumb?”などと聞かれ、思わず自分の手を見てしまうが、「あなたは庭いじりをなさいますか?」という意味。green thumbは、a natural skill for gardening(園芸の才)のこと。また、A person with this skill。英国ではgreen fingersという。
 さて、Googleでgreen thumbをサーチすると、園芸の話題、とくに季節ごとの庭いじりのコツがずらりと登場する。米国は広大だから、地域ごとに天候も異なり課題も違う。プロのgreenthumbが課題に答えている。
 これから、夏を迎えて暑い季節がやってくるが、大切なのがProperly wetting your plants(植物に適当な湿り気を)。Watering from the crown down can also help wipe out spider mites that tend to be prevalent in the summer.(植物の上の方から下に水やりをすると、クモの子供を一掃できるので、夏場にかけての繁殖を防げる)という。また、One to two inches of mulch really helps this time of year to keep your plants base cool.(落ち葉などで1-2インチ=3-6㌢の根覆いをすると、この季節には植物の根元を涼しく保てて、水分の蒸発を防げる)などなど。
 ところで、ワシントンポスト(6月16日付)は、Michelle Obama: The first lady with the green thumb(ミッチェル・オバマ夫人は、園芸好きのファースト・レディー)と述べている。

 彼女は最近、“American Grown: The Story of the White House Kitchen Garden and Gardens Across America”.(アメリカ育ち:ホワイトハウスのキッチンガーデンやアメリカの庭の話)という本を出版した。ところが、中でインタビューしているのは、土いじりなどおよそ縁がない政治記者のようで、大統領の再選に向けたプロモーションの話ばかりで、さっぱり面白くない。ファースト・レディーで、ホワイトハウスで園芸をしたのはエレノア・ルーズベルト以来である。
 ただ、コラムの最後に、野菜好きで知られるオバマ夫婦にも嫌いな野菜がひとつあり、ホワイトハウスのキッチンガーデンにも植えてないものがあるという。
.  “One thing the president and I, we don’t really like, are beets. We don’t have beets. We’re a no-beet garden. We believe there’s a beet gene. You either love beets or you hate ’em, and neither of us has the beet gene.”
 それは、ビーツ。ロシアのボルシチに入っている真っ赤なあれである。

2012年6月29日金曜日

rainbow ゲイを応援するクッキーが登場・・・



Rainbowは「虹」。その色はred、orange、yellow、green、blue、indigo、violetの7色。様々な色があることから派生した意味が、「多種多様性」。Rainbow flagといえば、ここではLGBTというsexual orientation(性的指向)による多様性を支持する旗だ。LGBTとは、lesbian(レズビアン) gay(ゲイ) bisexual(バイセクシュアル)transgender(トランスジェンダー)。
ワシントンポスト(6月27日付)は、“Rainbow-colored Oreo a harbinger of more gay advertising”(虹色のオレオは、ゲイへの広告増加の兆候だ)と報じた。
月曜日(6月25日)に突如、食品会社クラフト傘下のナビスコがフェイスブックに7色のクリームを挟んだオーリオのクッキーの画像=P=をアップロードした。あっという間に5万2000件のアクセスがあり、24時間以内に17万7000件のshareがあった。
A rainbow Oreo endears itself to the LGBT community and its straight allies.(虹色のオーリオはLGBTのコミュニティやそのstraight=真っ直ぐという意味だが、ここではホモじゃないという意味で=の共感者の心の琴線をくすぐる)という意図があった。
簡単に言えば、オーリオクッキーの宣伝似すぎないのだが、“Kraft Foods has a proud history of celebrating diversity and inclusiveness. We feel the OREO ad is a fun reflection of our values” (クラフト・フーズには、多様性と包含する寛容性をほめ称える歴史があります。オーリオの広告はわれわれの価値観を表すものだと感じています)と表明した。
 このオーリオのクッキーは、チョコレートクッキーに白いクリームを挟んでいるのが特徴だが、過去において黒人の運動が華やかなりしころ、黒人が白人を挟み撃ちにすると曲解された経緯があるのだ。
今回の宣伝には実は、布石があって、オバマ大統領はこの5月にsame-sex marriage(同性結婚)に支持を表明した。つまり、クラフト社としても早々にこの流れに乗ろうとしているわけだ。
ワシントンポストは、What’s next? Probably more gay advertising.と結論づけている。
とここまでは、普通の記事。
同性愛に反発する保守派の連中は、収まらない。One Million Momsなどの団体は製品ボイコットを示唆して息巻いており、“This is absolutely disgusting!!! Vote with your dollar, I will NEVER buy anything Kraft Foods again.”(全く吐き気がする。カネで投票するならば、私は以後一切クラフトの製品を買いません)という。
だが、捨てる神あれば、拾う神あり。“Don’t worry about them people boycotting you Oreo - I never bought a single cookie from you and now I will.”(心配しなくてもいい。オーリオのボイコットなんか。わたしはこれまで勝ったことないけど、今は買うことにします)という声も。
7色のクリームのオレオも売り出されるのかしら?



2012年6月28日木曜日

bonkbuster 女性の性欲が減退と警告・・・



  カタカナ読みは「ボンクバスター」。この言葉は英国生まれで、「アメリカを読む辞書」の番外編。セックスをするという英スラングの動詞bonkとblockbuster(大型爆弾)を連結した言葉で、A bestselling novel that features numerous sex scenes.(セックスシーン満載のベストセラー小説)をいう。
 この言葉は、英国の女性作家のSue Limbが1988年に造語。言ってしまえばエロ小説だが、実は書き手はLimb氏のような女性作家で、Publishers asked for a "big thick book with lots of bonking in it".(出版社がセックスシーンどっさり出てくる厚い本を求める)ようになり、女性作家らが書きまくった。
 男性よりも女性の読者の圧倒的な支持を得てライトノベルの本流になった。(注:男はエロ小説よりも、Xvideoの方がそそられる!?)。
Bonkbusterは巷にあふれ、ついに、2002年にこの言葉はオックスフォード英語辞典(OED)に登録された。
 ところが、英テレグラフ(6月24日付)は、“Author Jilly Cooper: 'Bonkbuster' is dead because women have lost their libidos”(作家ジリー・クーパー:〝ボンクバスター〟は死んだ。なぜなら女性はもはや性欲を失ったから)と報じた。
 Jilly Cooperはqueen of the bonkbuster(ボンクバスターの女王)と呼ばれた人物だが、the Cartier Queen’s Cup Final at Guards Polo Clubでこう語った。
 “Doctors’ waiting rooms are absolutely brimming these days with women suffering from low libidos. Ours is now a terribly under-sexed society. I have talked to a lot of young women about this and they just don’t seem to do it any more. Honestly. I suppose it’s because we all have so many other demands on our time now.”
 「医者の待合室には最近、性欲の減退に悩む女性であふれている。われわれの社会は、ひどいセックスレスになってきた。このことについて多くの女生と話し合ったが、みんなこれ以上やりたくないようだ。正直言って、われわれは今や他のことに時間を取られすぎているのだと思う」
 いよいよ、英国も日本と同しくセックスレス社会が到来しているのか?
 ここでbonkについて一言。bonkはhitと同じで、とくに頭をこつんとやること。それが。英国ではhave sexual intercourseの意味になったのには、どんな由来があるのか、ご存じの方はお教え願いたい。

toilet papering

Illustrated by Kazuhiro Kawakita
 toilet paperはトイレットペーパー。これが動詞として使われると、米国の伝統的なpractical joke(いたずら)となる。toilet paperingは動名詞で、略称はTP’ing。多数のトイレットペーパーをちょうど紙テープのように、樹木や家などに投げかけて覆う行為をいう。あえて日本語にすれば、「トイレットペーパー投げ」といったところか。
米国の大学や高校では9月下旬から10月にかけて、卒業生や学生・生徒の家族も含め、地域ぐるみの〝同窓会〟ともいうべきHomecomingの伝統がある。この時期にはfootball(アメリカン・フットボール)の学校対抗試合など様々な行事があって、学生らはハメを外して騒ぐことになる。そこで、よくやるいたずらがtoilet papering。10月末のHalloween(ハロウィーン)まで、全米の校庭や家の庭(yard)の樹木にトイレットペーパーの帯が無数にぶら下がっているのをよく見かける。庭にトイレットペーパーのロールを投げるという意味で、yard rollingともいう。
“How to toile paper a house”(トイレットペーパーで家を“飾る”方法)は、まず大量のトイレットペーパーを買い込む。1人では大変な作業だし、店の従業員にそれと怪しまれるから、仲間を募ってチームを組む。ターゲットの家を下見して、門に鍵が掛かっていないか、番犬がいないかを調べておく。夜遅く、みんなが寝静まってから庭に忍び込み、一斉に家の屋根や樹木にトイレットペーパーのロールを繰り返し投げかけて、できる限り覆ってしまう。そして静かに退散する…。
10月に入ると、米国北部では早くも落葉が始まる。葉がすっかり落ちた樹木に白いトイレットペーパーの帯が無数に揺れている様子は、夜目に見るとなかなか風情があり、また少し不気味でもあって、知らない人はビックリするだろう。
だが、一般的に許容されるのは、ここまで。そこへ雨でも降ると、ターゲットの顔色が変わるから要注意。雨に濡れたトイレットペーパーはsoggy(べちゃべちゃ)でsticky(くっつきやすい)状態となり、掃除が大変だからだ。
toilet paperingは、かつては若者のいたずらとして大目にみられたが、最近では“toilet paper attack”(トイレットペーパー攻撃)などと呼ばれて犯罪の一種と見なされ、警察が捜査・介入する地域も増えている。少なくともHomecomingを迎える学校側は、地域に迷惑が及ばないようにと神経を尖らせるようになってきた。
もっとも、警察沙汰になるケースは、トイレットペーパー投げに止まらず、ペンキのスプレーで落書きしたり、物を壊すなど悪ふざけが過ぎてvandalism(蛮行)にまで及ぶケースが多いようだが、警察はこう言う。“When we do catch them we just make them clean it up.”(やつらをとっ捕まえたら、きっと掃除させてやる。) The Sankei shimbun (October 28 2007)

2012年6月27日水曜日

bath salts 人をzombieに変える恐ろしいdrug・・・



 bath saltsは「バスソルト」「浴用塩」のこと。だが、最近、問題になっているのは、MDPVと呼ばれる methylenedioxypyrovaleroneという非合法の合成ドラッグ(synthetic drug)の別称。あるいは、methyloneとかmephedrone。これを使用すると、中枢神経をやられて、幻覚とともに、たとえば人肉を食いちぎるといった凶暴な行動に駆り立てられるという。
 カナダのCBCニュース(6月25日)は、“What are 'bath salts'? A look at Canada's newest illegal drug”(〝バスソルト〟とは何か?カナダで新種の非合法ドラッグを一見する)と報じた。
 その中で、バスソルトという一見無害な名前のドラックが出回り始めていると警告した。
 事件はこの5月にフロリダ州マイアミで起こった。このドラッグを使用した31歳の男が服を脱ぎ捨てて素っ裸になり、同じく裸のホームレスの男の顔に噛みついて人肉を食べたという。駆けつけた警察官はやむなく射殺したという。蘇る死者ゾンビーそのもので、この事件は俗に、“Miami Zombie Attack”(マイアミ・ゾンビー襲撃)と呼ばれ、世間の耳目を集めた。
 ただし、6月27日配信のAP通信は、Medical examiner rules out bath salts in Miami face-chewing attack(マイアミの顔を囓った襲撃事件について、医学検査管はバスソルトを除外)と報じ、問題の男はマリファナを吸引していたが、その他の薬物は体内から検知されなかったと述べている。
 その後、ニューヨークでもこのドラッグを使った女性が警察官に噛みつき、ルイジアナ州でも男がルームメートを食べたと伝えられる。
 bath saltsはこの春カナダに上陸したとのうわさが流れたが、先週、トロントで警察官2人が、クスリの影響でraging man(猛り狂った男)を逮捕しようとして、顔や手の骨を折る大けがを負わされたという。専門家は、bath saltsをこれまでみた最も危険なドラッグと言っている。
 このドラッグは、amphetamines(覚醒剤)の何倍も強い効果があり、hallucinations(幻覚), paranoia (偏執狂)violent behavior(暴力的行動)を誘うほか、heart attack(心臓発作)kidney failure(腎臓障害)liver failure (肝臓障害)やsuicide(自殺)をもたらすという。
 Like any designer drug, the exact composition of each batch can vary widely and in this case the drug can be smoked, snorted or injected.(あらゆる合成麻薬と同様に、一回、一回分の含有成分には差が大きく、使用方法は喫煙、鼻からの吸引、注射もできるという)
 ところで、名前の由来について、The name may also come from the resemblance the white crystals share with legal bath products, such as Epsom salts.(バスソルトの名称は、ドラッグの白い結晶が、エプソム・ソルトなど合法的な入浴剤に似ていることによる)という。



tag


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

tagはカタカナ読みで「タグ」、または「下げ札(を付ける)」を意味する名詞・動詞だが、もう一つは同音意義で「鬼ごっこ」を指す。語源はスコットランド方言のtigで、touch(触る)のこと。野球用語として現在も使われ、進塁の際の、いわゆるタッチアップ・プレーは、英語ではtag upだ。
「鬼ごっこをする」はto play tag。鬼に当たるのが“it”。it に選ばれた子供が他の子供を追いかけて、つかまえたら“Tag, you’re it.”(タッチ、君が鬼。)と言う。次いで、つかまった子供が鬼となって遊びが続くのは、日本も同じ。“Hide and Seek”(かくれんぼ)や“Cops and Robbers”(警官と泥棒)なども、tagと総称される。
米国の小学校では、tagはrecess(休憩時間)のplaygrounds(運動場)での伝統的な遊び。だが、USA TODAY(2006年6月27日付)は、“‘Not it!’More schools ban games at recess.”(「鬼はだめ」、休憩時間の遊びを禁止する学校相次ぐ)との記事で、ここ数年、姿を消しつつあると報じている。禁止の理由は、“It progresses easily into slapping and hitting and pushing instead of just touching.”(タッチするのが、ひっぱたいたり、撲ったり、押したりとエスカレートする)ので、学校側としては子供の安全を保証できないから。同じ理由で、ドッジ・ボール、サッカーなども〝危険な行為〟として禁止する学校が増えているという。
このような遊びを禁止している学校がどれくらいあるのか、統計はない。だが、子供の肥満が社会問題になる中で、児童教育の専門家は、こうした禁止が子供の身体の発達に悪影響を及ぼすと警告している。
一方、インターネット上では、“Blog Tag”と呼ばれる連鎖ゲームが、流行し始めている。ニューヨークのブロガーが2006年12月から始めた“A Game for a Virtual Cocktail Party”(仮想カクテル・パーティー・ゲーム)はその一つ。そこでは、自分の5つの〝秘密〟をブログで公開し、5人の友人ブロガーをリストアップしてtag、各自に自分と同じことをするように求めている。こうして、参加したブロガーを次々繋いだものが“Blog Tag Tree”(ブログ・タグの木)。これらはネットで公開されており、tagされた回数によってブロガー同士の人気を競う。
ところで、同じtagでも、ストレスが溜まるのがphone tag。電話を掛けたら相手が不在で、ボイス・メッセージを残す。すると、次に相手が電話を掛けてくる。今度はあいにく、こちらが不在で、相手のボイス・メッセージが残っている。それが繰り返される、という「電話の鬼ごっこ」。cell phone(ケータイ)の普及でなくなるかと思いきや、話し中や通話状態の不良にイライラしながら、相変わらず鬼ごっこは続く。やっと電話口で相手をつかまえた場合は、こう言うそうだ。“Tag, you’re it!” The Sankei Shimbun (November 4 2007)

2012年6月26日火曜日

veepstakes Sarah Palinなら面白いのに・・・



 Wikipediaによると、Veepstakes describes the quadrennial process in which candidates for President of the United States select a running mate.(4年に1度、米国大統領の候補者が副大統領候補を選ぶプロセス)ということ。
 このveepというのは、vice president(副大統領)を指すが、ウイリアム・サファイアの政治辞典によると、ハリー・トルーマンが1948年にケンタッキー出身の上院院内総務のアルベン・バークレーを選んだとときに、“VPs”の中で意中の人を、親しみを込めてveepと呼んだことに始まる。
 stakesは、賭金のことだが、馬のレースのことで、転じて「競争」である。
 初出は1967年、Newsweekで共和党の副大統領候補について、“Governors Love, Kirk, and Chafee and Senators Tower and Javits were entries in The Veeostakes”とあり、Wikipediaの
1988年というのは誤り。
 もっとも、そんなことはどうでもよいことで、関心はWho Should Romney Pick for Vice President?(ロムニーは誰を副大統領候補にするべきか)であろう。というのも、現職のオバマ大統領の人気は高いとはいえ、不動とまでは行かないからだ。人選によっては、ロムニー氏の目が出てくると考えられているからだ。
 まず、最近の話題はconservative heartthrob(保守の男前)と称されるフロリダ出身の上院議員 Marco Rubioだが、ロムニー氏と深い関係があるとはいえない。もう一人は、財政赤字の削減問題でオバマ政権を追究、頭角を現した下院議員のPaul Ryan。だが、2人とも大きな選挙を戦った経験がない。
 そのほか、ニュージャージ州知事 Chris Christie、 ルイジアナ州知事 Bobby Jindal, アリゾナ州上院議員 Jon Kyl、 バージニア州知事Bob McDonnell、前ミネソタ州知事 Tim Pawlenty、オハイオ州上院議員Rob Portman、そしてサウスダコタ州上院議員John Thuneの名前が挙がっている。このなかで、面白いのはミネソタ州のPawlentyだといわれる。彼は知事を2期勤めた実力者であり、ロムニー氏とも関係は濃密だ。ミネソタは前回の大統領選挙で民主党に取られた州でもあり、その奪還は選挙の勝敗を左右すると見られる。
 ロムニー氏は総じて、中道色であり、それだけ強烈なインパクトに欠ける。それが、共和党保守派にうとまれ、指名争いを苦戦した原因である。しかし、超保守の看板に付け替えたならば、浮動票は逃げてしまう。そこが難しいところで、2008年にマケイン候補のrunning mate となったSarah Louise Palin氏などを選んだならば、選挙はきっと盛り上がるのだが・・・。

2012年6月25日月曜日

skinny は知っていても、skinny-fat は・・・



skin(皮膚)+yで、skinny(皮膚のような)という意味で、「皮だけの」「やせこけている」。転じて「発育不良」などと訳される。She’s got long skinny legs.(彼女の脚はやせて長い)といった場合、栄養失調のような病的なやせ方を指し、およそよい意味合いではない。
ところが、最近、skinnyがadvertisingに登場、ファッション・トレンドとして積極的な意味合いで使われている。
たとえば、skinny jeansは脚にぴったりフィットしたslim-fit pantsをいう。Skinny jeans taper completely at the bottom of the leg.(スキンのようなジーンズは脚の底まで細身になっている)というわけ。セクシーな印象を与える。
また、skinny shampooなどという製品も売り出されている。おそらく、髪を洗った後の仕上がりに関して、髪の1本、1本に薄いスキンの膜で包むようなイメージを売ろうというわけだろう。
ところが、2011年2月にペプシがファッションウィークを記念して、Diet Pepsi 'skinny' can を売り出したところ、とんだ反発に遭遇した。
"Our slim, attractive new can is the perfect complement to today's most stylish looks,"(細身で魅力的な新しいカンは今日の最もスタイリッシュな外見にぴったりのアクセサリー)と銘打ったが、米摂食障害者協会(National Eating Disorders Association)の Lynn Grefe 氏は、 "Pepsi should be ashamed for declaring that skinny is to be celebrated."(ペプシはスキニーを祝うべきことと宣言していることを恥じるべきだ)と横やりを入れた。確かに摂食障害で骨と皮になっている患者からすれば、skinnyは呪うべきことであろう。
さて、同じskinnyでもskinny-fatはさらに困りものだという。
Urban Dictionaryによると、When someone is thin and looks great in clothes, but is all flabby underneath.(ある人がやせて、服を着ているときにはスマートにみえるが、その下は脂肪がたまっている)というのがskinny-fat。つまり、「痩せのデブ」というわけ。
なぜこんなことが起こるのか?When you diet, of course you will lose weight.(ダイエットすると、もちろん体重は減る)But when you diet and don't pair your new eating habits with an adequate exercise regiment, your body will become this, skinny fat, so to speak.(だが、ダイエットと、新しい食生活に見合った運動がともなわないと、いわゆる痩せの脂肪太りになる)。
つまり、運動によって筋肉質の体になってこそ、ダイエットの成果ありで、デブが顔や手足だけ痩せただけというのが、skinny-fat!



2012年6月23日土曜日

chicken hawk Protect your boys from predators!



 chickenは「ニワトリ」でhawkは「タカ」。ここでは、ニワトリを襲うタカ。Urban Dictionaryは、A
Gay term for an older man that constantly chases after younger men typically in their 20's.(ゲイ用語で、若い男、とくに20代を追いかけ回す老人)をいう。だが、「20代」というのは表向きの話で、実際にはpedophilia(小児性愛)あるいはchild sexual abuse(子供の性的虐待)の方が圧倒的に多い。
 ロイター通信(6月23日)は、A jury found former Penn State assistant football coach Jerry Sandusky guilty on 45 of 48 child sex abuse charges on Friday, ending a trial that rocked U.S. college football and renewed attention on pedophilia in America.(陪審は、前ペンシルベニアのフットボールのアシスタントコーチのジェリー・サンドゥスキー被告に対して金曜日、48件の小児性虐待の容疑のうち45件に有罪も評決を下した。アメリカの大学フットボールを揺るがし、小児性愛への注意を喚起した裁判は終わった)と報じた。
 Sandusky, 68, faces potentially hundreds of years in prison for molesting 10 boys over 15 years.(サンドゥスキー被告は、68歳。15年間に10人の少年をなぶりものにした罪で数百年間の懲役刑に直面している)といい、実はchicken hawkと呼ばれているのだ。
 また、ロイター通信(同)はMonsignor William Lynn was found guilty on Friday of one count of endangering the welfare of a child, making him the first senior U.S. Roman Catholic Church official to be convicted for covering up child sex abuse.(モンシニョールのウィリアム・リン被告は金曜日、1人の子供の福祉を損なった容疑が認められ、米国のローマカトリックの高位聖職者として初めて、小児性虐待で有罪の評決が下された)と報じた。
 Lynn's job was supervising 800 priests, including investigating sex abuse claims from 1992 to 2004.(リン被告の仕事は800人の司祭の管理と、1992年から2004年にかけて性的虐待の告発事件を調査することだった)だが、Instead of looking out for children, prosecutors said, he chose to protect the Church from scandal and potential loss of financial support.(被害者の子供を探す代わりに、スキャンダルと金銭的援助を失うことから教会を守ろうとしただけだった、と検察は主張した)という。すなわち、過去に問題になった教会関係者の性的虐待事件の隠蔽の容疑であるが、CNBCは35 人が関与したと報じた記事でaccused predators(告発された〝肉食獣〟)と呼んでいるのが印象的だ。
 今や大学も教会も子供たちにとっては安全な場所ではない。どこからchicken hawk predatorが狙っているか分からないのだ。Protect your chickens from predators!
 一方、chickenを「臆病な」という形容詞と考えると、chicken hawkは「臆病なタカ派」。a politician who is cowardly or hypocritical for personally having avoided combat in the past while advocating that others go to war.(他人が戦争に行くことは主張しながら、自分自身は過去に兵役を避けた臆病で偽善的な政治家)をいう。

2012年6月22日金曜日

freebie

Illustrated by Kazuhiro Kawakita


freeは「自由な」という形容詞で、“America is a free country.”(アメリカは自由の国)などという。だが、もう1つ「タダの」「無料の」という意味がある。freebieのfreeはこちらで、something given without charge or cost(タダでもらえるもの)。カタカナ読みは「フリービィ」。
“American Offers Freebie after 2 Paid Flights”(アメリカン航空は2度有料で乗ればタダのサービスを提供)という見出しのネットニュースが出たのは2007年11月。中身を読むと、Mileage serviceを受ける会員が対象で、米国内の所定のコースを2往復した場合、2万5000 bonus miles(ボーナス・マイル)を提供する、という秋の旅行シーズンに向けた販売促進策だった。2万5000マイルは4万㌔強。なんと、地球一周分のポイントが加算される。2倍の4往復すると、「ヨーロッパや日本までタダで旅行できる」という謳い文句だ。
こんな高価なfreebieをもらうにはかなりの元手が必要だが、銀行に口座を開いたらくれる電卓などの景品、メーカーが配るシャンプーや化粧品のサンプル、また、スーパーマーケットでのピザなどの試食は、ほとんど元手要らずのfreebie。
オックスフォード英語辞書(OED)によると、freebieは1942年に登場、1954年出版のジャズミュージシャン、ルイ・アームストロングの自伝「サッチモ」に、“That meal was a freebie and didn’t cost me anything.”(その食事はフリービィで、タダだった)と説明付きで記載。だが、語源は不明。一説によると、-bieは蜂のbeeで、これも俗語表現で“put the bee on someone for something”(誰かから何かをせしめる)に由来するとか。つまり、freebieは「タダでせしめたもの」という解釈だ。
ところで、インターネット上では米国のfreebie専門サイトが人気。たとえば、“Free Products Samples”(タダでもらえる製品サンプル)のコーナーでは、メーカー提供の試供品一覧が載っている。また、desktop freebie(PCのデスクトップ用フリービィ)として無料のスクリーンセーバーや壁紙、Eカードや MP3、free software(無料ソフト)などのダウンロードまで、ネットで手に入るfreebieのリストが掲げられ人気を博している。
実際、“Everything on the Internet is free.”(ネット上にあるものはすべてタダ)とつい考えたくなる。freebie 評論家のリー・シーツ氏は“Everything on the Net is there as a result of someone’s efforts.”(ネット上のすべてのものは、誰かの努力の結果としてそこにある)と釘を刺す。
さて、2008年8月3日の深夜、ミシシッピ州ルールビルで自動車事故があった。乗っていたのは、アカデミー賞受賞俳優のモーガン・フリーマン氏。横転した乗用車から救出されたところを、ヤジ馬がケータイのカメラを向けた。フリーマン氏はすかさず言ったそうだ。“No freebies, no freebies.” (タダ撮りはあかん)The Sankei Shimbun (November 11 2007)

locavore 地産地消・・・


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


locavoreをカタカナ読みすると「ロカヴォア」。local(地元の)と接尾辞の-voreが合体してできた新語。この-voreは、carnivore(肉食動物)やherbivore(草食動物)の-voreと同じ。語源はラテン語のvorareで、英語ではdevour、つまり「がつがつ食う」という意味。-voreは「がつがつ食う者」だから、locavoreは「地元で取れた食物を食べる者」。つまり、〝地産地消〟主義者である。
2005年にサンフランシスコで開かれたWorld Environment Day(世界環境デー)に、ジェシカ・プレンティスさんらカリフォルニア州北部在住の4人の女性が “Locavores”を名乗って登場したのが始まり。自分が住んでいる半径100マイル(約160㌔)以内で生産された農水産物を食べることで、地元の生産者を助け、しかも食物を長距離輸送するために使われるエネルギー資源を節約することができると提唱。その後、あっという間に全米に賛同の輪が広がり、当初は固有名詞だったlocavoreは、ついに普通名詞になった。
それでは、“How to eat like a locavore”(ロカヴォア式の食べ方)を紹介しよう。彼女ら4人の場合、東海岸に住む希少魚のアンコウなどはやめ、11月から翌年5月にかけて地元沿岸で獲れるDungeness crab(カニの一種)を食べる。また、冬場に南米から輸入されるサクランボには手を出さず、夏場に同州のセントラルバレーに生育するのを待つ。その1人、ディード・サンプソンさんは“I’m naturally not hungry for out-of-season ingredients.”(季節外れの食材を欲しがらない)と話す。つまり、地元で生育する旬の物を食べるのが基本で、“Eat local, eat fresh.”(地元産で新鮮な物を食べよう)というわけ。
locavoreのもう1つの狙いは、food mileの短縮。foodは「食物」で、mileは距離を意味する「マイル」。つまり、「生産地から食卓まで食物が運ばれてくる距離」を指す。グローバル化で世界中から食品が輸入される今日、食品のfood mileはどんどん伸びている。専門家の推定によると、米国での1食品当たりの平均food mileは1100マイル(1770㌔)という。すなわち、それだけの距離を運搬するために、石油資源が消費され、その排気ガスによって環境破壊が進む。1人ひとりが各自のfood mileを短縮するように心掛ければ、少しずつ破壊にブレーキがかかるだろう。
ニューヨーク・タイムズ(2007年4月25日付)の“Preserving Fossil Fuels and Nearby Farmland by Eating Locally”(地元の物を食べて石油資源と地元農家を守る)の記事で、プレンティスさんはこう言う。
“To restrict yourself to eating locally is an interesting exercise. It’s consciousness raising to see what you’d be living on”(地元の物を食べることは興味深い頭の体操。自分が何によって生きているのか、改めて分かる)The Sankei shimbun(November 18 2007) 「グローバル・English」はこちらへ

whatchamacallit


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 whatchamacallitは、発音をカタカナ書きすると「ワチャマカーリット」。英語に聞こえず、「何のこっちゃ」と思うのは当然。書き言葉としてお目にかかることはまずない。だが、米国での日常会話では頻繁に耳にする。実は“what you may call it”(それの呼び方)を圧縮して、素早く言った言葉。日本語でよくいう、「あれ何だっけ、あれ、あれ」に当たる。自分の言わんとするものの名称を忘れて思い出せないときとか、名称を知らないときに使う表現である。
 whatchamacallitのバリエーションは多い。人の名前が思い出せないとき、「あいつ誰だっけ」に当たるのがwhat’s-his-face。相手が女性の場合はwhat’s-her-face。容貌は憶えているから、“One of your friends asked me to give you this package. It was…, what’s-his-face,…the big guy with broad shoulders…”(君の友達がこの包みを渡してくれって。あれ誰だっけ、肩幅の広い大きい男…)などと使う。
 物忘ればかりではない。名称が難しくて憶えられない場合もある。最近、駅や公共施設でよく見かけるのが、救命用のAutomated External Defibrillator(自動体外式除細動器)。AEDと略称が表示されているが、緊急事態に遭遇し、英語でも日本語でも機器の正確な名称を言える人が何人いるだろうか?多くの人は“Bring here AED thingamajig!”(AEDとかいう、あれ持って来い)と叫ぶのがせいぜいだろう。このthingamajigもwhatchamacallitと同じで、日本語に訳すと「あれ」。アメリカン・ヘリテージ辞書などによると、語源はthing(もの)から変化したthingumで、19世紀に遡り、thingamabobともいう。
 thingamajigのほかに、もっと小さいものや、ふざけて言う場合にはthingy。オンラインのUrban Dictionaryに出ていた用例を紹介すると、
 観光ガイド:“See the waterfall.”(滝を見てください)
 子供:“Um…the what?”(えっ、何?)
 観光ガイド:“That water thingy over there.”(むこうの、あの水のあれです)
 また、「あれ」が〝名称不明〟の道具や機械になると、doohickeyとかdoodadを使うことが多い。“Can you hand me that doohickey on the table?”(テーブルの上のあの何とかいう道具を取ってくれないか)などという。
 whatchamacallitなどは、英語の初学者には大変便利な言葉で、つい誘惑に駆られて使いたくなるが、どの辞書にも詳しい説明はない。むしろ、こういう言葉は知っていても使わない方がよいそうだ。「多用するようになると、要注意」との警告が出ており、「何のこっちゃ」と思ったら、Age Associated Memory Impairment(加齢による記憶の減退)、つまり、〝老人ボケ〟の始まりでした。The Sankei Shimbun(November 25 2007) 「グローバル・English」はこちらへ

2012年6月21日木曜日

dropout factory



 dropoutは、日本でも「ドロップアウト」(離脱)という。「落ちこぼれ」「落伍者」を意味する名詞。drop(落ちる、落とす)という動詞とout(外へ)という副詞に分けて考えると、その意味合いは明瞭になる。一方、factoryは「工場」。dropoutを作り出すfactoryとは〝欠陥工場〟みたいだが、米国では近年、公立のhigh school(高校)で落第・退学問題が深刻になっており、中途退学する生徒の多い学校がdropout factory(落ちこぼれ生産工場)と呼ばれて、批判の対象になっている。カタカナ読みは「ドロップアウト・ファクトリー」。
 dropout factoryは、ジョンズ・ホプキンス大学の教育問題研究者であるロバート・バルファンツ博士の造語。「最終学年まで進級する生徒が60%を上回らない高校」と定義。つまり、40%以上の生徒が中途退学する。バルファンツ博士らがこのほど、全米で約1700の高校のデータを分析した結果、12%がdropout factoryであることが分かった。AP通信(2007年10月29日付)は“1in 10 Schools Is ‘Dropout Factory’”(10校に1校が落ちこぼれ生産工場)と報じ、この傾向は10年前とほぼ同じ水準、と指摘した。
 マイクロソフト創業者夫妻のビル&メリンダ・ゲイツ財団が2006年3月にまとめた「高校の落ちこぼれ状況」に関するレポートでは、dropoutを“The Silent Epidemic”(沈黙の流行病)と命名し、その原因を追究。全米の25の地域で高校を中退した16~25歳の男女467人に対面調査をしたが、半数近くが、落ちこぼれた最大の理由は「授業が面白くなかったから」と答えている。また、10人中7人が、「勉強しようという気が起らなかった」と述べており、教師の指導法に大きな問題があることを示唆した。もっとも、退学にまで追い込まれるには、それ相当の理由があり、「働いて金を稼ぐため」(32%)、「(子供ができて)親になったため」(26%)、「家族の面倒をみるため」(22%)など、経済的・家庭的要因が大きい。
 いずれの調査でも、dropoutが集中しているのは大都市と南部・南西部の諸州。人種的には黒人、ヒスパニックなどの割合が白人やアジア系を大きく上回っており、貧富の格差が大きな影響を与えていることは否定できない。
 さて、当事者である高校生や、さらに大学生の間では、dropoutの代わりにflunkoutと言うことが多い。flunkは、「落第する」「落第させる」どちらにも使える動詞。ランダムハウスの「米俗語歴史辞書」によると、19世紀半ばにまで用例が遡り、米国に大学が創設されるとともに、「落第」も始まったようだ。flunkoutを「落ちこぼれ」の意味で使うのは比較的新しく、1950年代からという。思うに、dropoutの語がメディアにどんどん登場し、教育機関の公式の文書にまで記載されるようになったため、仲間内で使うには心地の悪い言葉になってしまったのだろう。The Sankeio shimbun(December 2 2007) 「グローバル・English」はこちらへ

2012年6月20日水曜日

citiot こう呼ばれているのを知っている・・・



 citiotはcity(町、都市)とidiot(バカ)を合成した造語。読んで字のごとしで、「都会のバカ」。地方から都会に来た人間をバカにして、country bumpkin、rube、hick(いずれも田舎者)というのと逆のケースといえる。カタカナ読みは「シティオット」。
 ネットのUrban Dictionaryによると、”More commonly from New York City, citiots venture out to their summer homes in the Hamptons from Memorial Day to Labor Day.”(都会のバカは、とくにニューヨークから、メモリアル・デー=5月最後の月曜日からレイバー・デー=9月の第1月曜日に、ニューヨーク州ロングアイランドの避暑地ハンプトンズにある夏の別荘にやってくる)。They usually have fancy cars and are usually wealthy. They drive like they own the place, and they walk around town and in stores like they own them too.(たいていはいい車を持っていて金持ち。どこでも我が物顔に運転するし、町や店を自分の所有物のように歩き回る)とした上で、Citiots are very snobbish.(大変な俗物)と結論付けている。
 ニューヨークマガジン(6月5日付)は、ハンプトンズに住むJoe Schwen氏のTwitterから、What is a "citiot"?
 A few years ago, I saw a sweating woman in tights wearing a cell phone headset scream "I told you to make it with RICE MILK! RICE MILK! RICE MILK!" to a clerk at a juice bar.(2,3年前、ヘッドセットのケータイを耳に付けたタイツ姿の女性が、汗を流しながら、ジュースバーに駆けつけて、売り子に「言ったでしょう。ライス・ミルクで作ってと!ライス・ミルクよ、ライス・ミルク」と叫んでいるのを見た。)
 ライス・ミルクとは、米から作ったミルク(豆乳のようなもの)で、女性は〝健康志向〟からそれを求めたのだろう。
  My friend said to me, “citiot.”
 こういう手合いは、ハンプトンズだけではなく世界中のリゾートや静かな田舎町で我が物顔に振る舞っては、地元の人の顰蹙を買っている。
 だが、I am a citiotと、自ら謙虚に言う場合もあるので、使い方には要注意。つまり、その場合は、都会暮らしばかりで、田舎の生活や自然との触れ合いなどに無知であることを認めて、地元と融和しようという態度を見せる。こちらはまだしも可愛げがある。
 だが、やはり都会と地方の格差は拡大するばかりなのが、現代のアメリカ。そこには、geographical divide(地理的格差)が厳然と存在しているのだ。

2012年6月19日火曜日

pink slime  これを食べているのか・・・



pinkは「ピンク色の」。slimeはどろどろ、ねばねばしたものを指す。ヘドロのことを言う場合が多い。その連想から、悪臭がするものや嫌なものを意味しslime ballといえば「嫌なやつ」。悪いニュアンスを持つ言葉。そこで、pink slimeは「ピンクのどろどろ」のイメージだ。何のことか?
Pink slime は、正式には lean finely textured beef (LFTB) またboneless lean beef trimmings (BLBT) という。Leanはやせて、筋張っているという形容詞であるが、ここでは名詞で赤身肉。LFTBは赤身肉を粉砕した牛肉で、BLBTは骨のない赤身牛肉を粉々にしたもの、という意味。
アメリカでは、これらはground beef(牛挽肉)のfood additive(食物添加物)とか、inexpensive filler(安い増量剤)に使われているという。
その製造過程は、熱で脂肪分を溶かして赤身を分離するが、The recovered beef material is then processed, heated, and treated with ammonium hydroxide gas or citric acid to kill E. coli, salmonella, and other bacteria.(外した肉は加工、加熱そしてO157やサルモネラ菌やその他のバクテリアを殺菌するために、水酸化アンモニウムやクエン酸を使って調理される)点である。これを冷凍してブロックにして販売し、挽肉に添加している。20年以上前から続いてきたという。
ところが、ABC放送は今年3月に、70 percent of ground beef sold in U.S. supermarkets contained the product(スーパーで売られている牛挽肉の70%にこれが含まれている)と報じて騒ぎになった。実は、水酸化アンモニウムは、米国以外のカナダ、イギリス、EUなどで食品への使用を禁止しており、それらの国ではpink slimeの輸入は禁止されているという。

クリスチャン・サイエンスモニター(3月27日付)は、'Pink slime': Health crisis or misunderstood meat product?(ピンク・スライムは健康危機か誤解された肉製品か)と報じ、メーカー側は、水酸化アンモニウムの使用は安全に全く問題ないとしているが、問題は消費者が買うかどうかだ?
この騒ぎで、“The name pink slime is really just a hopeless PR problem”(ピンクのどろどろという名前は、絶望的な逆宣伝になってしまっている)という。つまり、誰が最初にいったのか、ピンクのどろどろなどとみんなが呼ぶようになり、その言葉が広まり、消費者は気持ち悪がって購買意欲はなくなりつつあるという。とくに、挽肉を大量に使うハンバーガー・ショップをはじめとするレストランでは相次いでpink slime free( ピンク・スライムは使いません)を表明、そして学校給食をどうするか、重大な岐路に立っているという。 



2012年6月18日月曜日

baby bump 赤ちゃんができた・・・


babyは「赤ちゃん」。bumpは「バンとぶつかること」だが、人と人がぶつかってできるのが「こぶ」。転じて「お腹のでっぱり」。baby bumpは「妊娠した女性の腹部」を指す。使い方は、She's delighted to be pregnant, and loves showing off her baby bump.(彼女は妊娠を喜んで、丸いお腹見せたがる)など。
baby bumpでも、注目を集めるのはcelebrity baby bump(セレブのお腹のでっぱり)でpaparazziの飯のタネとなる。
USマガジン(6月11日付)は、“Pregnant Megan Fox Shows Off Growing Baby Bump”(女優のメイガン・フォックスが妊娠、すくすく育つ赤ちゃんのお腹を披露)と報じた。Transformerのヒロインはtransform。俳優で夫のブライアン・オースティン・グリーンとの第1子となる予定という。

英国のデイリーメール(5月31日)には、Chill Bill: Uma Thurman shows off growing baby bump poking through her clingy top。Chill Bill は彼女のヒット作、Kill Billにかけただじゃれ。Chillはchill outでrelax? ユマ・サーマンが、ひっつくシャツから飛び出した赤ちゃん腹を披露。ニューヨークの町に外出したところをパチリ。この夏の出産予定という。

最後はRoyal Baby Bump Spotted!(ロイヤル・ベイビーバンプをキャッチ=6月13日付、英国のタブロイド各紙
Duchess of Cambridge, Kate Middleton has stepped out with Prince William showing off what looks like a growing baby bump.夫のウイリアム王子がケンブリッジ公爵なので、Duchess of Cambridge(公爵夫人)となったケート・ミドルトンは、お目出たの様子を披露しながら、夫君と外出したところを撮影された。
こちらは、在位60年をお迎えになった女王陛下がさぞかし、早くお世継ぎをつくるように矢の催促をなっさっていることであろう。


2012年6月17日日曜日

flip-flop


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 flip-flopは、カタカナ書きでは「フリップ、フロップ」。日本語では「パタパタ」という音、または動きを指す。サンダルを履いて歩くと、かかとの部分が当たってパタパタと音を立てる。そこから、サンダルを“flip-flop”とも呼ぶ。が、ここでは、政治家が政策に対する意見やスタンスをころころ変えるという意味で、ある種の軽薄さをともなう。見方によっては、変節、優柔不断である。名詞、動詞として使う。
 民主党の小沢一郎代表が、自民党との〝大連立構想〟に色気を見せ、それがもとで党代表の辞任を表明し、すぐに撤回して話題になったが、これなどもflip-flopの典型だろう。(注:小沢氏は2012年6月、flip-flopの典型ともいうべき野田政権の消費増税に反対し、正義の味方を標榜しているが、女房に「放射能が怖くて地元岩手から逃げた」と罵られ、離婚騒動に発展していると、週刊文春が報じた)
 だが、政治家にflip-flopはつきもの。とくに選挙が近付くと、各党候補ともに票を取り込もうとして、flip-flopは〝常態〟となる。
 ニューヨーク・タイムズ(2007年11月4日付)は、“Said That vs. Meant This, a Hot Matchup for ‘08”(ああ言や、こう言うで、08年の大統領選挙に向け熱い戦い)の記事で、いよいよthe season of the“flip-flop”(〝変節〟の季節)、と報じた。民主党の有力候補、ヒラリー・クリントン上院議員と、ジョン・エドワード前上院議員について、イラク戦争開始には議会で賛成票を投じながら、今では反対の急先鋒に変わったのは、米国民の広く知るところ。一方、共和党の有力候補のルドルフ・ジュリアー二元ニューヨーク市長は、銃規制論者で全米ライフル協会(NRA)と対峙してきたが、ここに来て9・11中枢同時テロの経験を引き合いに出し、銃所持に一定の理解を示し始めているという。また、ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事は、中絶と同性愛の権利に対して、容認派から反対派に転じた。
 flip-flopは今に始まったことではない。奴隷解放の父と称えられる第16代大統領リンカーンは、南北戦争(1861-65)と奴隷解放政策をめぐってflip-flopを繰り返した。また、ニューディール政策で知られる第32代のフランクリン・ルーズベルトは、大恐慌に対して、やれることを手当たり次第にflip-flopしたに過ぎない。だが、彼らの場合、鋭い政治センスと徹底した現実主義に裏付けられて、ボストン大学のブルース・シュルマン教授が指摘するように、“One man’s flip-flop can be another man’s admirable flexibility.”(ある人の変節は、別の人にとっては賞賛すべき融通性となる)との好例である。
 ところで、flip-flopを解体すると、flipは「上に向かう動き」を表わし、flip a coin(コインを投げ上げる)などと使う。一方、flopは「下に向かう動き」を表わし、「落ちる」から「失敗」まで幅広い意味で使う。
 flip-flopが成功するか、失敗するか?いつの時代も政治は結果がすべてである。判断するのは選挙民であり、歴史はそのことを物語っている。The Sankei Shimbun (December 9 2007)

2012年6月16日土曜日

goodbye note さようならだけが人生さ・・・



Goodbye noteはgoodbye(さようなら)をいうためのnote(短い手紙)。別れに際して出す手紙をいい、遺書なども含む。とくに、アメリカでは、When you're leaving a company, you may write a farewell letter to say goodbye and thank your co-workers.(会社を辞めるときに、会社の同僚にさようならとお礼をいう、お別れの手紙を書く)。farewell thank you noteを指す。最近は、メールが多いから、goodbye emailか。
ウォールストリート・ジャーナル(6月15日付)は、“Facebook Tech Chief Taylor to Depart”(フェイスブックの技術主任のテイラーが辞意)と報じた。同社の〝看板男〟のChief Technology Officer (CTO=チーフ・テクノロジー・オフィサー) のBred Taylor氏は、この夏退社後、別の会社を設立することになり、フェイスブックにgoodbye noteを発表した。米国の経済界、とりわけIT分野では、こうしたことは日常茶飯事であるが、マーケットでは上場して間もない株価がニュースを嫌気して値を下げた。
手紙には、同社の創業者でCEOのマーク・ザッカーバーグに特別の感謝を捧げたいとしたうえで、“You’ve not only been my boss for the past three years, but my mentor and one of my closest friends.” (君は過去3年間私の上司であっただけでなく、メンターであり、親しい友人の1人だった)と述べている。
さて、2011年9月13日CNNは、“Trapped man, 85, wrote goodbye note before rescue” (苦境に陥った85歳の男性が救助前にさよならの手紙)と報じた。ロバート・ポーター氏は、テキサス州カービルの近くの山道を走行中に車が道をそれて、谷間にはまって身動きできなくなった。食料もなく、水が240㍉㍑あるだけで、気温は30度以上の猛暑。車のホーンを鳴らし続け、バッテリーはなくなり、40時間がたとうとしていた。ポーター氏は死を覚悟して、車の肘掛けにペンで〝遺書〟を書き残した。
“One thing I wrote, the very first, was, ‘This is an accident,’ Because I was afraid somebody might think I committed suicide” (1つだけ書いておく、まず第1に、これは事故だ。なぜなら、誰かが私が自殺したと考えるのを、私は心配するからだ)と。
ポーター氏は、脱水症状にみまわれたが、さいわい救出されたという。俺は決して自ら命を絶つような弱虫じゃない。アメリカの古きよき時代の男の意地を見せたかった、ようだ。
ところで、「さようならだけが人生さ」は英語で何というか?答えは、Life is a Series of Hellos and Goodbyes.


2012年6月15日金曜日

drone ハチのうなり声が聞こえる・・・

Illustrated by Kazuhiro Kawakita

 droneの語源はmale honeybee(雄のミツバチ)の古英語dranという。ぶんぶんとうなる低い持続音から、機械音を連想するのかロボットを指していう。とくに、最近話題に上るのがunmanned aerial vehicle (UAV=無人航空機)。人間のパイロットが乗らずに、コンピューターで自動制御するか、パイロットがリモートロールで操縦し、偵察や、時には攻撃を行う。
 AP通信(6月13日付)は、The Obama administration’s increasing use of unmanned drone strikes to kill terror suspects is widely opposed around the world, according to a Pew Research Center survey on the U.S. image abroad.(世論調査会社のピュー・リサーチ・センターが海外の米国のイメージについての調査によると、オバマ政権がテロリストの容疑者を殺害するために無人のドローンによる攻撃を増やしていることに対して、世界中で反発が強まっている)と述べている。
 21カ国のうち17カ国で、半数以上の人が、パキスタン、イエメン、ソマリアにおけるU.S. drone attacks targeting extremist leaders and groups(米国による過激派のリーダーやグループを標的にしたドローンの攻撃)に反対している。なぜか?リモコンの飛行機によるめくら撃ちで〝誤爆〟が続出、一般市民や味方の被害が続いているからだ。
 パキスタンなどでは、上空からハチのうなり声が近づいてくると、住民の多くが恐怖に取り憑かれて逃げ惑うという。
 But in the United States, a majority, or 62%, approved the drone campaign.(だが、米国人の大多数の62%は、ドローン攻撃を賛成している)という。その理由は、米国人兵士の犠牲者を出さない攻撃方法だからである。

 ところで、デイリー・メール(6月19日付)は、"Is that really just a fly? Swarms of cyborg insect drones are the future of military surveillance” (これって本当にハエ?サイボーグの昆虫ドローンの大群こしお未来の軍事偵察システム)と報じた。
 その中で紹介しているのが写真のmini-drone。The US Air Force unveiled insect-sized spies 'as tiny as bumblebees' that could not be detected and would be able to fly into buildings(米空軍が明らかにしたマルハナバチと同じくらい小さい昆虫のサイズのスパイロボット。検知されることなく、建造物に侵入できる、という。ハチの羽音を立てながら…
 さて、FOXニュース(6月14日付)は、”Military drone mistaken for ‘UFO’ along DC highways”(軍事用のドローンがワシントンDCの高速道路でUFOと誤認される)と報じた。

首都圏のベルトウエイのモンゴメリー・カウンティからプリンス・ジョージ・カウンティで、自動車を運転していた人が、UFOらしい物体を発券し、次々に警察などに通報、大騒ぎになった。
もっとも、結局、正体が判明。
 It's an experimental, unmanned aircraft called an X-47B, according to Northrop Grumman spokesman .(ノースロップグラマンの報道官によると、それはX-47Bと呼ばれる実験用の無人飛行機である)という。
 昔から、UFOは政府機関が密かに開発した航空機ではないかと噂されてきたが、まったく根も葉もないことではないようだ。空を見上げてハチのうなり声を聞いたなら、一目散に逃げろ!






2012年6月14日木曜日

pro-life


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 pro-は「賛成」「尊重」を意味する接頭辞で、lifeは「生命」。pro-lifeは「生命尊重の」という形容詞。カタカナ読みは「プロライフ」。主にhuman embryo(人間の胎芽)とfetus(胎児)を法的に守ろうという主義・主張に用いられる。その狙いはanti-abortion(合法的妊娠中絶に反対)。だが、pro-lifeと聞いて直ちに「妊娠中絶」を思い出すのは、かなりの政治通。多くの人は、説明されて意味を理解しても、何となく腑に落ちないのではないか。pro-lifeは実際、意図的にあいまいな表現にしたweasel word(イタチ言葉)である。
 pro-lifeの主張は、もともとキリスト教の道徳観に深く結びつき、保守層に根強い。なかでもカトリック教会は、妊娠中絶を〝自然の摂理に反する重大な罪〟と位置づける。米国では、福音派や原理主義派のキリスト教グループがこれに同調。これらの宗派は共和党の支持団体で、pro-life はレーガン政権下の1984年以来、共和党の綱領に盛り込まれた。
 pro-lifeは、政治的スローガンに止まらない。ブッシュ大統領は2001年8月、胎芽から新たなembryonic stem cell(胚性幹細胞)を創り出す研究には政府の補助金を拠出しないことを決定。その後も決定への反対法案に対し、大統領拒否権を2度発動している。その影響は大きく、新たな胎芽の研究利用はストップした。
 さて、pro-lifeの反対がpro-choiceで、「選択権尊重の」。これも何のchoice(選択権)なのか、字面から分からないweasel word。“the legal right of women and girls to choose whether or not to continue a pregnancy to term”(子供が生まれるまで妊娠を継続するかどうか、選択する女性の法的権利)であって、「産む産まないは女の権利」と言われてやっと分かる。つまりpro-abortion(妊娠中絶に賛成)の立場である。pro-choiceは言うまでもなく、女性解放運動から生まれた主張。1973年にテキサス州の中絶禁止法に対する違憲訴訟の結果、妊娠中絶を女性の権利と認める憲法判断が下された。民主党はpro-choiceの立場だ。
 pro-lifeかpro-choiceか、論争になるや否や、weasel wordsの本領を発揮する。pro-lifeの主張は、暗に対立相手をpro-death(胎児の死に賛成)あるいはanti-life(生命無視)に追い込むのがミソ。また、pro-choiceの主張は、相手をanti-choice(女性の選択権に反対)と批判することになる。ところで、2007年5月、CNNとギャラップの世論調査で、「あなたは pro-choiceかpro-lifeか」と尋ねたところ、CNNの調査では45%がpro-choiceと回答し、pro-lifeは50%だった。一方、ギャラップ調査では、両者の比率はCNNとほぼ反対の結果。世論はまさに2分している。The Sankei Shimbun(December 16 2007) 「グローバル・English」はこちらへ

2012年6月13日水曜日

provocative 女が仕掛ける そそる、を訳すと・・・



 provocativeの元の動詞はprovoke(刺激する、挑発する)。語源はラテン語のprovocareでpro-はforthでvocare はto call。つまり、「呼び起こす」。何を呼び起こすのか?sexual desireとなれば、女から男に仕掛ける。provocativeは「性的に挑発的な」tという意味。
 ニューヨークで今もっともprovocativeなのが、バルバドス出身の歌姫でモデルのリアーナ。英スターマガジン(6月12日付)には、”Rihanna gets pulses racing in New York!”(リアーナがニューヨークをどきどきさせるぜ)と出ていた。
 A naked picture of Barbadian Beauty Rihanna is sure to distract passers-by in Times Square.(バルバドスの美女リアーナのヌード写真がタイムズスクエアに登場、道行く人の気を引くのは確か)という。The provocative snap is to promote the pop-star's latest fragrance, Rebelle.(そそるスナップは、ポップスターの香水レベルのプロモーションでした)
 さて、ハリウッドゴシップ(4月24日付)によると、“Madonna's provocative smoking pic goes up for sale”(マドンナがタバコを吸う挑発的な写真が売りに出ている)。

 The provocative image was shot by fashion photographer Steven Meisel but was never included in her controversial 1992 book ‘Sex’(挑発のポーズはファッション写真家のステーヴン・マイセルが撮影したものだが、1992年に発売した話題の本「セックス」には含まれていなかった)。もっとも、撮影されたのは1990年で,今から22年前でした。
  一方、provocativeは、女性以外の意味で使う場合には、文字通りprovokeすることを指す。AFP通信(6月15日付)には、 The United States and South Korea called Thursday on North Korea to end "provocative behavior," but Secretary of State Hillary Clinton said young leader Kim Jong-Un still had a chance to change.(米国と韓国は木曜日に北朝鮮に「挑発行為」を止めるように求めた。しかし、ヒラリー・クリントン国務長官は若いリーダーの金正恩に変革の機会が残されていると述べた。
 ところで、動詞のprovokeが「性的に挑発する」という意味で使われたのは昔のことで、今は使わない。よく使われるのはarouse。ワインタイムズ(5月31日付)に“SEX THERAPIST LAUNCHES WINE TO “AROUSE””(セックスセラピストが、性欲をそそるワインを売り出す)と出ていた。
 American sex therapist and TV personality Dr. Ruth has launched a line of low-alcohol wines to help “relax” and “arouse” couples.(アメリカのセックス・セラピストでテレビでおなじみのルース博士は、カップルをリラックスさせその気にさせる低アルコールワインのシリーズを売り出した)という。どんなワインか?普通のワインはアルコールが13%程度だが、これは6%に控えたという。セックスレス解消に軽いワインで乾杯!


2012年6月12日火曜日

binge 一気飲みを英語に訳すと・・・



 カタカナ読みは「ビンジ」。オックスフォード英語辞典(OED)によると、初出は1854年, "drinking bout" (酒を飲んで騒ぐこと) 。動詞として "drink heavily, soak up alcohol;"(大酒を飲む)。転じて、「馬鹿騒ぎ」や「やり過ぎる」ことをいう。
 AP通信(7月8日付)は、“Obama, Romney are binging on fundraisers”(オバマとロムニーは、選挙資金集めに大騒ぎ)と報じた。11月の米大統領選挙を控え、Fundraising gluttony is in(資金のかき集めが始まった)。Gluttonyは「大食い」のことで、bingeが飲み食いに関係が深い言葉であるところから、洒落てみせた。
 “President Barack Obama and Republican rival Mitt Romney are on an unprecedented fundraising binge that shows no sign of ending.”(オバマ大統領と共和党候補のロムニーは、未曾有の金集めの馬鹿騒ぎをして、終わる兆しが見えない)。民主主義選挙の勝敗はカネをどれだけ集めるかにかかっている。その本質をぴたりと示した記事である。
 さて、LiveScience(5月22日付)によると、“Married Men Secretly Binge on Unhealthy Food”(既婚男性は隠れて不健康な食物を大食いしている)と報じた。
 “Women try to keep their husbands on a healthy food track, but many men will cheat on their diets when away from home, new research suggests.” (女房が夫に健康的な食生活すすめているのに、多くの男性は家を離れるとダイエットをごまかしてしまう、と新たな調査で分かった)。つまり、家では健康メニューだが、外食ではジャンキー・フードを食っているというわけ。
 ところで、日本語の「一気飲み」をどう訳すか?それに最も近いニュアンスの英語がbinge drinking(無茶飲み)。
 Wikipediaによると、binge drinkingについて、”One definition states that 5 drinks for men and 4 drinks for women must be consumed on one occasion at least once in a two week period for it to be classed as binge drinking.”(男は5杯、女は4杯を2週間に1度以上、1度の機会に飲み干すことをbinge drinkingとするのが、1つの定義である)。
 binge drinkingの後にはacute intoxicationやalcoholism(急性アルコール中毒)が待ち構えてい、その先には死が待っていることを心すべきである。
 

2012年6月11日月曜日

Donkey vs. Elephant


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 Donkeyは「ロバ」で、民主党(Democratic party)のマスコット。一方、Elephantは「ゾウ」で、共和党(Republican party)のシンボルマーク。ロバ対(vs.=versus)ゾウが激突するのは、民主・共和2大政党が政権を争う大統領選挙。4年ごとで、オリンピック開催年に行われる。選挙戦は1月のアイオワ州の党員集会を皮切りに各党の候補者選びがスタート、8月下旬から9月にかけて各党の全国大会で候補者を決定、11月の本選挙で米国の大統領が選出される。
 民主党のDonkeyは、元はassと言った。donkeyの語源については、18世紀後半の俗語dun(brown=茶色)にmonkey(サル)の-keyが付いて「茶色のヤツ」になったとの説がある。assは古英語のロバ。1828年の大統領選挙で、第7代大統領になるアンドリュー・ジャクソン(民主党)が、名前のJacksonにassを絡めて“jackass”(「雄のロバ」という意味)と呼ばれたのを逆手に取り、キャンペーンにassを使ったのが始まりという。
 ロバとゾウが対立する構図は、1870年代に遡る。コラムニストのウィリアム・サファイア氏の考証によると、漫画家のトーマス・ナスト(1840~1902)がハーパーズ・ウィークリー誌の1874年11月7日号に、ライオンの皮を被ったassが森の動物を脅かすマンガを描いたのが始まりという。当時、南北戦争で北軍の最高司令官として活躍したグラント将軍(共和党)が第18代の大統領(在職1869~77)を務めていたが、民主党を支持する新聞は、グラントの3選阻止に向けてCaesarism(専制主義)と批判した。ナストは、その新聞のやり方をイソップ童話の“an ass in a lion’s skin”にたとえて、こけ脅しだと風刺。「民主党はロバ」と大衆に印象付けることになったという。以後、ロバは民主党の事実上のシンボルになった。もっとも、assは、「バカ」や「間抜け」など悪い意味合いで使われることが多いため、普通にロバを表わすdonkeyの呼び名に変わった。
 一方、共和党のシンボルマークのゾウは、実はナストの諷刺画の中で、ロバに脅されて逃げ回る森の動物の1つとして登場。その説明では、根も葉もない〝専制主義〟への加担に恐れをなして逃げ回るRepublican vote(共和党支持の有権者)を表していた。だが、その後、ゾウは有権者から党自体と見なされるようになった。
 さて、共和党員はDemocratic Donkeyを元のassとして「頑固」で「愚か」と見ているが、民主党員は「素朴」で「質素」、「賢く」て「勇気がある」と考えている。一方、民主党員はRepublican Elephantを「バカ」で「尊大」で「保守的」と見ているが、共和党員は「威厳に満ち」、「強く」て「賢明」と考えているそうだ。
 いずれにしても、自分は賢明で正しく、相手は愚かで間違っている、というのが民主・共和2大政党の共通の主張であるようだ。The Sankei Shimbun(January 6 2008)「グローバル・English」はこちらへ

2012年6月10日日曜日

umami


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 umamiの語源は「うま味」「旨味」。日本語から英語に転用された言葉の1つ。米国の辞書ではsavory(風味のよい)とかmeaty(肉の風味の)とも英訳されることがあるが、ここでいうumamiは、アミノ酸の複合体の味覚。とくにa taste that is characteristic of monosodium glutamate(MSG=グルタミン酸ナトリウムに特徴的な味覚)と説明される。
 ウォールストリート・ジャーナル(2007年12月8日付)は、umamiを“A New Taste Sensation”(新しい味覚の衝撃)と報じた。また、米公共ラジオ(NPR)も2007年12月13日の番組で、sweet(甘味)、sour(酸味)、salty(塩味)、bitter(苦味)に続く“the fifth taste”(第5の味覚)としてumamiが注目されている、と紹介した。なぜ今、「うま味」なのか?
 umamiは、1908年に東京帝国大学の池田菊苗教授が、だし昆布から発見。味の素が最初に主要成分であるMSGを製造・販売した。いわば日本が生みの親。MSGはかつて「化学調味料」と呼ばれ、現在は「うま味調味料」となった。日本からアジアや欧米に急速に普及し、現在北米だけで年間推定約9万5000トンのMSGが販売されているという。実際、外食産業から、スーパーマーケットに並ぶ加工食品やスナック菓子まで、MSGが幅広く使われているのは日米ともに同じ状況だ。
 一方、米国では1960年代から外食産業、とくに中華料理店でのMSGの大量使用が問題視され、MSGを過剰摂取して頭痛や顔面の紅潮、動悸、眠気などを引き起こすChinese restaurant syndrome(中華料理店症候群)が指摘された。米食品医薬品局(FDA)で調査・研究が行われ、1995年の報告書では、「何パーセントかの人はMSG摂取による症状が現われる場合がある」としながらも、〝安全な食品成分〟と認めている。
 欧米でもumamiの成分がフランス料理のブロス(魚や肉の煮汁)や、パルメザンチーズ、アンチョビー(イワシの油漬け)、完熟トマトなどに含まれていることは、かなり昔から知られており、呼び方はどうあれ、どんどん食べられてきた。
 だが、味覚としてのumamiの存在は、欧米では長らく認められず、おいしさはギリシャ時代以来の伝統に従い、甘・酸・塩・苦の4味の組み合わせによると考えられてきた。umamiが〝第5の味覚〟となったのは、21世紀の直前。2000年にマイアミ大学の研究者がまとめた報告書で、われわれの舌には従来の4つの味覚と区別してglutamateを識別できるレセプターがあることが分かったというわけだ。
 そこで、「うま味」は英語に翻訳できない言葉として、そのままumamiと表記されることになった。今やsushi(寿司)と同様にグローバル化の波に乗り、世界中で使われる日本語になり始めている。The Sankei Shimbun(January 13, 2008)「グローバル・English」はこちらへ

2012年6月9日土曜日

waterboarding


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 waterboardingのカタカナ読み「ウォーターボーディング」。元の形はwaterboard。surfboard(サーフボード)やsnowboard(スノーボード)などと似ているから、何かスポーツを連想しそうだが、共通点はboard(板)を使うことだけ。実は、CIA(米中央情報局)が過去数十年に渡って用いてきたprofessional interrogation technique(プロの尋問方法)の1つだ。
 その方法とは、まずboardに尋問する容疑者を仰向けに縛りつける。足の方が上がり、頭が下がるように固定。尋問者は、容疑者の鼻と口を布で覆うか、顔をセロファンで包んで、その上に繰り返し水をかける。容疑者は溺れ死ぬような感覚に襲われ、咽頭反射で窒息状態になり、パニックに陥って白状するという。waterboardingで実際に溺れ死ぬことはないとされ、外傷は残らない。だが、肺が破壊されたり、低酸素脳症になったりして、死に至ることもある。日本語に訳すと「板縛り水責め」といったところだが、waterboardingの字面からは容易にその方法を知り得ず、weasel word(イタチ言葉)の典型である。
 2001年の9.11中枢同時テロ以降、CIAは“Extraordinary Rendition”(特殊工作?)というプログラムを強化。テロの容疑者を拉致し、世界各地の秘密の収容所に移送したとされるが、warterboardingなどによる尋問は、そこで行われたという。ワシントン・ポスト(2007年12月9日付)によると、9.11を計画したとされるカリド・シーク・モハメドら、国際テロ組織アルカーイダの幹部の尋問にも使われたという。ところが、2007年12月に、CIAが尋問の際に撮影したビデオを勝手に廃棄していたことが明るみに出た。拷問による違法尋問の発覚を避けるために証拠隠滅を図った疑いが浮上。政治問題化するに至った。
米議会では、戦争捕虜への拷問を禁止したジュネーブ条約に違反する疑いのある行為だと批判が高まった。これに対してブッシュ政権は、テロリストを戦争捕虜とは認めず、waterboardingは拷問ではない、との論陣を張った。テロリストから情報を引き出すためには、人道主義的な取り扱いは無用で、厳しい〝尋問方法〟が必要だと主張したのだ。
 ところで、CIAの〝プロの尋問方法〟には、このほかattention grab(胸元をつかんで揺する)、attention slap(顔などを平手打ちする)、belly slap(腹を平手打ちする)、long time standing(手足を拘束したまま40時間以上にわたって立たせる)、cold cell(裸にしたまま寒い独房に立たせ、冷水を浴びせる)の5種類があるという。だが、CIAの工作員にwaterboarding を試したところ、平均14秒で降参したといい、最も〝有効〟な尋問方法と見なされている。
 waterboarding は、米国のスパイ活動の一端を垣間見ることができるのである。(January 20 2008)「グローバル・English」はこちらへ

2012年6月8日金曜日

Spanglish


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 Spanish(スペイン語)とEnglish(英語)を組み合わせた造語がSpanglish。カタカナ読みは「スパングリッシュ」。その名のとおり、スペイン語と英語が混ざり合った混成語のこと。ヒスパニック系住民のコミュニティーで使われる。
 ヒスパニック(Hispanic)は、中南米出身者を指すが、本来は「スペイン語を話す人」という意味。米政府が1980年の国勢調査から民族分類のための用語として使い始めた。米国のヒスパニック人口は2005年に4270万人となり、黒人(3970万人)を抜いて白人(1億9840万人)に次ぐ最大のマイノリティとなった。今では、全米各地の都市にbario(バリオ)というコミュニティーが形成され、スペイン語が話されている。barioの外は英語社会。英会話が必要で、バイリンガルを強いられるが、使い分けよりもむしろ混用が進んでいる。
 Spanglishの語を最初に使ったのは、プエルトリコのジャーナリスト、サルバドール・ティオ。1952年、米国からの英単語の流入で、プエルトリコのスペイン語が乱れているのを批判する記事の中で用いたのが初出という。
 Spanglishが生まれたのは、メキシコとの国境地帯や南カリフォルニア、ニューメキシコ、テキサス、フロリダ州などのヒスパニック・コミュニティーで、その後、中南米諸国に浸透していく。
 著名ジャーナリストのH.L.メンケンは著書“The American Language”(第4改訂版)で、20世紀前半から中南米でbaseball(野球)をbeisbol(ベイスボル)とスペイン語風に発音したり、“How much?”をjamach(ハマチ)とそのまま使用する例を挙げて、「純粋のスペイン語にない単語が多く使われている」と指摘している。
 さて、現在のSpanglishに関して、メキシコ出身の批評家イラン・スタバンス氏は、ニューヨークの街角や学校で約6000語を収集、“Spanglish”(2003年)として出版した。これは、初めてのSpanglish辞書だろう。その中で、クリスマスを意味するスペイン語のnavidad(ナビダゥド)の代わりに、英語からの〝音訳〟であるcrismasが用いられていることや、kodak(コダック)がカメラや写真、klinex(クリネックス)がティッシュペーパーを意味する普通名詞として使われていることなどを紹介している。
 スタバンス氏は、メキシコで生まれ米国へ移住し、スペイン語を母国語にしながら英語教育を受けた。Spanglishを“the verbal encounter between Anglo and Hispano civilizations”(アングロサクソンとヒスパニック文明の言語的な出合い)と定義。“It was only when I was already comfortable in both Spanish and English that I suddenly detected the possibilities of Spanglish.”(私が突然、スパングリシュの可能性を発見したのは、私がすでにスペイン語と英語双方のなかで快適だと感じたときのことだ)と語っている。The sankei Shimbun(2008.1.27 Engrish) 「グローバル・English」はこちらへ

2012年6月7日木曜日

barrel


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 barrelは本来「樽(たる)」を意味するが、ここでは原油(crude oil)の計量単位としてのbarrel(バレル)、つまりoil barrel。1バレルは42 US gallons(42ガロン)で、メートル法に換算すると約159㍑。barrelの省略形はbbl。bbl/d、bpdはbarrel per dayの略で、「1日当たりのバレル」という単位。
 国際石油市場で原油1バレルの値段は、2001年の9・11中枢同時テロのころ20㌦台だったが、今年初めには一時100㌦に達した。この原油高の原因は、基本的には需要と供給の関係による。つまり、石油資源は減る一方で、新たな発見は少なく、増え続ける需要に供給が追いつかない。ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン氏は、ニューヨーク・タイムズ(2008年1月4日付)で“Dealing With the Dragon”(竜=中国の扱いをめぐって)と題し、「新興国、とりわけ中国での石油の消費が急増している」と指摘。中国は今や世界の石油需要の9%、近年は世界の石油消費伸び率の3分の1を占める。“As a result, oil at $100 a barrel is, in large part, a made-in-China phenomenon.”(結果として、1バレル100㌦の石油は大部分がメイド・イン・チャイナの現象である)と述べた。
 US Energy Information Administration(米エネルギー情報管理局)によると、2006年の米国の石油消費量は2058万8000bbl/dで世界トップ。2位が中国(727万4000bbl/d)、3位が日本(522万2000bbl/d)と続く。世界最大の消費国は米国なので、〝メイド・イン・チャイナ説〟は自国の消費を棚に上げた身勝手な議論だが、米国ではこの説に賛同する人が多いようだ。
 さて、計量単位のbarrelは、採掘した原油を木製の樽に入れて運んだことに由来する。米国のペンシルベニア州で最初の油田を掘ったのは、エドウィン・ドレークという人物で1859年のこと。彼は洗い桶に保存したというが、1860年代になるとウィスキーや塩を入れる樽が使われるようになった。42ガロンの樽を使ったのは、J・D・ロックフェラーが1870年に設立したスタンダード・オイル会社。この樽が普及したのは、米国の税当局である内国歳入庁(IRS)が徴税の便宜のために後押ししたから。スタンダード・オイルは、米国内の石油精製・販売の約9割を独占、青いペンキで塗装したblue barrelがすっかり定着した。1911年に反トラスト法違反で会社は解散を命じられ、34の独立企業に分割されたが、blue barrelはその後も受け継がれる。
 もっとも、原油の輸送において、タンク車やパイプラインが現われるや、42ガロンの樽は瞬く間に時代遅れの代物になった。今では全く見かけることはない。それでも、国際相場で昔ながらのbarrelが生き続けているのは、石油産業では決して他国の自由にはさせない、という米国の頑固な意志の表れであるように思えてならない。The Sankei Shimbun (February 3 2008)  「グローバル・English」はこちらへ