Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
freedomは「自由」。カタカナ読みは「フリーダム」。形容詞はfree。自由を表す一般的な語で、アメリカ人が最も好きな言葉の1つだ。
オバマ新大統領の就任式が2009年1月20日ワシントンで開催された。そのテーマが、“A new birth of freedom”(自由の新たな誕生)。2009年はリンカーン大統領(1809~65)の生誕200年に当たり、南北戦争で北軍の勝利が決定的になったゲティスバーグで、1863年11月19日に行った演説からの引用だ。原文では“This nation, under God, shall have a new birth of freedom.”(この国は神の下に、自由の新たな誕生を迎える)とあり、その後、“Government of the people, by the people, for the people, shall not perish from the earth.”(人民の、人民による、人民のための政治を地上より消滅させてはならない)という有名な一文に続く。
freedomの大義名分は、アメリカ人の琴線に触れる。一般市民向け勲章の最高位が、Presidential Medal of Freedom(大統領自由勲章)。トルーマン大統領が1945年に制定し、第2次大戦の戦争功労者に授与した。その後、ケネディ大統領が1963年に復活させ、「米国の安全保障、国益、世界平和や文化に貢献した人」を対象とした。授与式は、毎年7月4日の独立記念日前後である。
独立記念日はIndependence Day。アメリカ合衆国が1776年に大英帝国からfreedomを勝ち取った日である。その100周年を記念して、フランス人が募金を集めて制作、1886年にニューヨークの港湾に完成させたのがThe Statue of Liberty(自由の女神像)。libertyも「自由」を意味するが、この語はフランス語のlibertéが起源。“the power of free choice”(自由な選択権)を強調する。自由の女神像は2001年の9・11中枢同時テロ以降、内部への立ち入り禁止措置が取られてきたが、オバマ新政権は、これを解除する意向という。
さて、アメリカ英語では、independenceはfreedomの類義語と見なされる(ランダムハウス辞書)。つまり、freedomとはin-(否定を表す接頭辞)dependence(依存すること)で、「依存しない」ということが基本。逆に言えば、独立していないものに自由はない、というのがアメリカ人の根本的な考え方である。そこで、individual freedom(個人の自由)にとって最も重要なのがself-reliance。日本語では「独立独行」と訳される。
米作家のサム・レべンソンは5歳の誕生日に父親からこう言われたという。“Remember, my son, if you ever need a helping hand, you’ll find one at the end of your arm.”(憶えておくのだよ。もしも手助けが必要になったなら、それはお前の腕の先についている手だということを)。
“The more people in America become self-reliant, the freer America becomes as a nation.”(独立独行の人が増えれば、アメリカは国としてより自由になる)-米国民の意識である。The Sankei Shimbun (January 18 2009)「グローバル・English」はこちら
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