Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
great は「大きい」「偉大な」という形容詞。opportunityは「機会」「好機」、外来語の「チャンス」とも訳せる。そこで、great opportunityは「大きなチャンス」。カタカナ読みは「グレイト・オポチュニティ」。
オバマ大統領は2009年3月7日のラジオ演説で“Time of crisis can be great opportunity.”(危機は大きなチャンスとなり得る=AP通信の見出し)と語った。オバマ氏は、深刻な経済危機の中で四半世紀ぶりに失業率が8%を超え、数百万人が住む家を失って、その日の生活にも困窮しているという厳しい現実を語った上で、こう言って国民を鼓舞した。“With every test, each generation has found the capacity to discover great opportunity in the midst of great crisis. That is what we can and must do today.”(様々な試練に際し、どの世代もこれまで、大きな危機の最中に大きなチャンスを発見する力を見出してきた。それはわれわれにも可能であり、今日やらねばならないことだ)
では、どこにチャンスを発見すればよいのか。残案ながら、演説はそこで終わり。(注:その後も何も示されないままで、2011年の秋以降、Occupy Movementが全米で起こることになった)
だが、歴史を振り返ると、ヒントがある。ケネディ大統領は1959年4月、冷戦の危機について演説した中で、こう述べた。“When written in Chinese, the word ‘crisis’ is composed of two characters-one represents danger and the other represents opportunity.”(中国語で「危機」という言葉を書くと、1つは「危」であるが、もう一方は「機」である)。1957年にソ連の人工衛星スプートニク1号の打ち上げが成功して、米国がショックを受けた後だが、彼はこのとき“The space age offers the opportunity for new voyages of discovery.”(宇宙時代は新たな発見への旅の機会を与えてくれる)と語った。その言葉通り、以後の宇宙開発競争が、アポロ計画と人類初の月面着陸成功につながっていく。
ところで、アメリカのまたの呼び名は“land of opportunity”(機会の国)。16世紀に始まった欧州各国からの移民は、当時の王政・貴族制度でがんじがらめになった階級社会を嫌い、新大陸にopportunityを求めた結果である。移民たちの多くがゼロからスタートして一生懸命働き、多くの苦難と戦った。それを乗り切った人々が、アメリカ合衆国を建国したのだ。
偉大な物理学者アルベルト・アインシュタインは、“In the middle of every difficulty lies opportunity.”(どんな困難の中にもチャンスがある)と述べている。チャンスを見出せるか否かは、各人に掛かっている。危機に遭遇してすぐに投げ出してしまう人もいれば、「なにくそ!」と歯を食いしばってがんばる人もいる。そういう意味では、“The economic crisis is a test of character.”(経済危機は、人の〝本性〟が試される機会である)と言えるだろう。The Sankei shimbun (March 23 2009)
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