Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
英BBC(2012年9月18日付)は、“What lies behind Afghanistan's insider attacks?” (アフガニスタンの内部攻撃の背後に何があるのか) と報じた。イスラム原理主義武装集団タリバンと戦闘を続けるNATO(北大西洋条約機構)軍で、共同戦線を張ってきたアフガニスタン治安部隊のinsider attackによって死傷兵が続出する事態だという。
この内部攻撃は、rogue Afghan soldiers(ならず者のアフガン兵)による犯行で、“green-on-blue attack”(青に対する緑の攻撃)とも呼ばれる。それぞれの色は何を意味するのだろうか?実はblueは味方、greenは味方の協力軍、さらにredが敵を意味するのだ。そこで、red-on-blueは味方に対する敵の攻撃で、blue-on-blueは同士討ち。すなわち、friendly fireである。
AP通信(2012年12月11日付)は、この事態を受けて米軍が、“Insider Threats Afghanistan, Observations, insights and Lessons Learned” (身内の脅威、アフガニスタン、観察と洞察、学んだ教訓)と、題する70㌻の冊子を部隊に配布した。
それによると、2007年5月から2012年10月1日までのinsider attackによる死者は320人以上に上るという。そして、注意事項として、もっと文化の違いを理解せよと指摘している。
“Troops should not blow their noses, put their feet up on desks, wink, spit, point fingers at Afghans or use the "ok" hand signal, which some Afghans interpret as an obscene gesture.”(戦闘員は、アフガン人を前に鼻をかんだり、デスクに足を上げたり、ウインクやつばを吐いたり、指差してはならないし、手でOKの仕草をしてもならない。ある人たちにとってはわいせつな行為を意味するのだ)
ところで、治安部隊にタリバンが〝浸透〟しているとみられ、治安部隊を訓練するNATO軍兵士にいつ銃口が向けられるか分からない。それがinsider threat(身内の脅威)なのだ。実際、こんな状態では、戦闘どころの話しではない。記事は米軍の士気は低下する一方であると指摘している。
さて、insider attackは、コンピューター・ネットワークのセキュリティー用語としても使われる。ハッカーが企業ネットワークへの侵入した場合、“The intruder is someone who has been entrusted with authorized access to the network.”(侵入者がネットワークへの正当なアクセス権を認められた者である)とすると、攻撃はいとも簡単になるのだ。
「獅子身中の虫」という言葉通り、最も怖いのは身内の攻撃なのだ。
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