Illustrated by Kazuhiro Kawakitaka |
カタカナ読みは「グロウカル」。global(グローバル、地球的)とlocal(ローカル、地域的)を組み合わせた造語。オックスフォード辞典(ネット版)によると、reflecting or characterized by both local and global considerations(地域的であるとともに地球的な考えを反映しているか、それらによって特徴付けられる)と定義。すなわち、「地球的かつ地域的な」ということ。
この意味を解くカギが、“Think globally, act locally”、または“Think global, act local”(地球的視野で考え、地域に密着して行動する)という語句。1970年代から環境問題に関して使われたが、その後、経済やビジネスの分野でも盛んに使われるようになり、glocalization(globalizationとlocalizationの合成語で、カタカナ読みは「グロウカライゼイション」)という言葉まで生まれた。
その例としてよく挙げられるのが、ハンバーガー・チェーンのマクドナルド。その経営は世界中に広がり、globalizationの典型。だが、インドでの代表メニューはチキン・マハラジャ・マックで、他地域での牛肉ベースのビッグマックではない。つまり、牛は神聖な動物であるので食べない、というインドの地域性を考慮してlocalizationをしているというわけ。
タイム誌(2012年8月20日号)は、“The Economy’s new rules: Go glocal”(経済の新たなルール:グローカルで行こう)との特集記事を掲載した。これまで一本道を歩んできた米国経済のグローバル化は、イラク戦争、住宅バブルの崩壊、世界金融危機の連鎖で急ブレーキが掛かり、“Local is looking better and better.”(ローカルがますますよく見える)という状況。その理由は、“As finance fades into the backdrop, manufacturing takes center stage.”(金融が背景に後退、製造業が表舞台に登場)して、地域経済が好転していることだ。これだけドル安、円高が続けば、米国の製造業が息を吹き返すのは当然だろう。その分、日本の製造業は海外シフトを余儀なくされており、新たなgo glocalを模索しなければならない。
ところで、英ガーディアンのブログ(2012年12月4日付)に、“Film-makers start thinking 'glocal'”(映画制作者はグローカルを考え始めた)との記事が出ていた。
“There are signs that regionally-inflected versions of the same stories offer a way ahead for world cinema.”(同じストーリーで地域を変えたバージョンの映画が世界の映画界に先んじる兆しがある)と指摘した。
そういえば、「巨人の星」のインド版がテレビ放送を開始し、野球をインドの国民スポーツ、クリケットに変えた筋が結構受けているそうだ。物語の筋はglobalに、設定はlocalにがミソなのだ。
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