2013年4月11日木曜日

slut 「あばずれ」ってこういうことなの?


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

 カタカナ読みは「スラット」。語源は15世紀初頭にさかのぼり、「だらしのない女」としてkitchen maid(台所の下働き)を指した。転じて、「売春婦」とか「あばずれ」などの蔑称となった。ところが、最近では、“Slutwalk”(スラットウォーク)など女性の抗議デモの標語に登場、より積極的な意味で使われている。形容詞はslutty。
 カナダのグローブ・アンド・メール(2012年5月25日付)は、“Hundreds march in Toronto Slutwalk to combat sexual violence”(性暴力と戦うため、数百人がトロント市で〝スラットウォーク〟の行進)と報じた。同市でSlutwalkが始まったのは昨年4月。女性への性暴力の対策を議論する集会で、“Women should avoid dressing like sluts in order not to be victimized.”(女性は被害に遭わないために、〝あばずれ〟のような格好を避けるべきだ)と、警察関係者が発言したのがきっかけ。性的暴行の被害に遭うのは、被害者側に原因があるとする見解に反発する形で運動がスタートした。“No matter what I wear, my body is not an insult.” (たとえ私がどんな服装をしようと、私の身体は侮辱の原因ではない)と主張する。
 この運動はカナダから世界各国に拡大。ブラジルでは妊娠中絶の解禁など、各国が抱える女性問題を抱き合わせたフェミニズム運動に発展した。主催者側は、Tシャツにジーンズなどの普段着でのデモを奨励しているが、ビキニや超ミニスカートを着けた挑発的な姿の参加者もあり物議を醸した。
 ニューヨーク・ポスト(2012年6月6日付)によると、ニューヨーク市のトップ公立高校でその日、“Slutty Wednesday”(スラッティな水曜日)と称し、生徒約100人が学校の服装規定に抗議してデモを行なった。校則では、女生徒に対して肩や腹部、背中を出すなど肌の露出が多い服装を禁じているが、「学校は勉強するところで、服装は重要ではない」と反発しているのだ。
 これから夏にかけては気温上昇とともにsluttyな女性が増えるが、男は見ないようにするしかないか…。

2013年4月8日月曜日

tweetup tweetプラスmeet up 出逢いを大切に

Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 tweetは、鳥が「さえずる」ことだが、最近ではこの意味で使われることは少ない。むしろ、to post a message on Twitter(〝ツイッター〟のオンライン・サービスにメッセージを掲示する)の意味で使うのが圧倒的。tweetupは派生語で、tweetとmeet up(出会う)が合成した言葉。ツイッターを通じて知り合った人たちが、実際に会うことを指す。カタカナ読みは「ツィータップ」。
 インドのインディアン・エックスプレス(2012年5月14日付)に、“Let’s Tweet and Meet”(ツイッターをやって、出会おう)との記事が載った。ムンバイ市で、葉巻を楽しむシガー・クラブを立ち上げた人が、ツイッターで人集めに成功したというエピソードを紹介。“Twitter has helped me get in touch with a lot of like-minded people.”(ツイッターの助けで、同好の人々とコンタクトを取ることができた)と述べている。
 経済発展が著しいインドは今や世界で6番目のツイッターの使用国であるという。そこで、“Many brands are recognizing this and creating the unique tweetup to cater to their target audience.”(多くの商業ブランドがこの事実を認めて、彼らのターゲットとする顧客に提供するためのユニークなツイッターによる出会いの場を立ち上げつつある)という。
 tweetupは米国の大統領官邸ホワイトハウスでも始まった。“White House Tweetups”というホームページが設けられ、“A Tweetup is an in-person meeting of people who use social media to engage with the White House on Twitter.”(Tweetupは、ツイッター上のホワイトハウスとソーシャル・メディアを使ってコンタクトする人たちが直に会う会合です)と説明。今年(2013年)も去る4月1日に行われた復活祭のイベントへの参加を呼びかけた。その結果、選ばれた数千人の子供たちがホワイトハウスの庭でEaster Egg Roll(イースターの卵転がし)の行事を楽しんだという。
 “Birds of a feather flock together”(類は友を呼ぶ)と、ことわざにある通りではないか。




2013年4月7日日曜日

gender-bending ニューハーフは和製英語

Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 genderは「性」。bendは「曲げる」と言う動詞。語の起源は1980年代に生まれたgender-benderで、文字通りでは「性を曲げる人」だが、“a person who dresses and behaves like a member of the opposite sex”(異性の格好をしたり、そのように振る舞う人)の意味。形容詞がgender-bendingで、性差がわかりにくくなる意味にも使う。
 AP通信(2012年2月10日付)は、“Gender bending model still causing a stir”(異性装のモデルが依然〝興奮〟のタネ)と報じた。世界のファッション界で注目を集めるボスニア生まれのオーストラリア人、アンドレイ・ペジック。その容貌は美しい女性モデルだが、実はれっきとした男性。しかも、男性モデルもやれるというから、まさにsupermodelと呼ばれるにふさわしい。記事では、“His androgynous beauty has turned him into a trendsetter in an industry.” (その両性具有的な美が彼を業界の流行発信者に変えた)と述べ、2011年の1年間で14の雑誌の表紙を飾ったという。
 異性の服装をするという動詞はcross-dress。大昔から祭礼や芸能をはじめcross-dressingは盛んに行われて来たが、最近では迫真のリアリティが追及されるようだ。また、habitual cross-dresser(いつも異性の格好をしている人)や性転換手術をした人などのtransgender person(性差を越える人)も目新しいことではなくなってきた。日本でいう「ニューハーフ」はshemaleという。
 だが、新たな問題としてニューヨーク・ポスト(2010年11月27日付)は、 “Gender-bending athletics”(性差が分かりにくくなる運動競技)とのコラムを掲載した。ある大学の女子バスケットボールチームの女性選手がtransgender personとして、自分は「男性」であると宣言。そこで、この人は女性か男性か、となったわけ。NCAA(全米大学体育協会)は、選手のsexual reassignment surgery(性別適合手術)やホルモン療法を禁じているため、この人はそれらを控えているという。だが、人権尊重の立場からtransgender の人々への差別を禁じる州もあり、今後のスポーツ界に波紋を呼んでいる。

2013年4月3日水曜日

naïve 天然だ!

Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 naïveは日本語でも「ナイーヴ」。古仏語のnaïf(自然のまま、生まれつきの)が語源。“Lacking worldly experience and understanding”(世間的な経験や理解に欠ける)という意味で、同義語はsimple(単純)、innocent(無邪気な)、unsophisticated(世間ずれしてない)。だが、しばしばstupid(バカ)の婉曲表現として使われる。
 ブッシュ政権で副大統領を務めたディック・チェイニー氏が2011年8月30日に回顧録“In My Time”を出版。クリスチャン・サイエンスモニター(同日付)によると、“In the book, Cheney argues former Secretary of State Rice was naïve for trying to reach a nuclear weapons agreement with North Korea.”(その本の中で、チェイニー氏は、ライス前国務長官が北朝鮮と核兵器協定を結ぼうとしたのは〝天真爛漫〟だ、と皮肉った)という。
 ライス氏はこれに対し、"I don't appreciate the attack on my integrity that that implies."(暗にほのめかすような私への人格攻撃は評価しない)と反論した。integrityは、日本語に訳しにくい単語の1つ。語源はinteger(整数)と同じでwholeness(全体性)を指す。転じてsoundness of moral character(道徳的な高潔さ)、honesty(正直さ)をいう。ここでは、「人をバカにするのは許さないわ」というのを婉曲に言ったわけ。
 さて、英国のスカイ・ニュース(2011年9月1日付)によると、野党労働党のエド・ミリバンド党首はインタビューで、“The Government is ‘naïve’ to think the UK is safe from the problems facing the global economy.”(政府が、グローバル経済が直面する数々の問題から英国が安全であると考えているとすれば〝おめでたい〟)とキャメロン政権を批判。"Collective austerity, advocated by the UK Government, is too simplistic for the complex challenges the world faces." (世界が直面する複雑な課題に対して、英国政府が掲げる総合的緊縮政策は単純すぎる)と指摘した。simplisticもnaïveの同義語で、裏を返せば「単純バカ」と非難したことになる。

2013年3月29日金曜日

phantom vibration 心はいつも着信を待っている




 phantomは「幽霊」または「幻想」「幻覚」。一方、vibration(バイブレーション)は、cell phone's vibration、すなわちケータイを〝マナーモード〟(英語ではvibration alert=振動報知)にしたときに着信を知らせる振動のこと。そこで、phantom vibrationは、「振動の幻覚」。着信がないのにケータイが振動したように錯覚すること。
 オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド(2012年2月9日付)は、“‘Phantom’ mobile phone vibrations: why we get them”(ケータイの振動の幻覚、なぜわれわれは感じるのか)との解説記事を載せた。“Bzzt, bzzt. You check the supposed vibration in your pocket, yet no one has called or sent you an SMS.”(ブー、ブー。あなたはポケットで振動したのかと確かめてみるが、誰も電話をしていないしSMSも送っていない)ということがある。SMSはShort Message Service、つまりメールのこと。こうした現象を少なくとも6割以上のケータイユーザーが経験しており、 “phantom vibration syndrome”(幻覚振動症候群)などと呼ばれているという。
 かつて、着信メロディがなかったころ、ケータイが鳴ってないのに、鳴ったように錯覚するphantom ringingが問題になった。人混みなどで一般的な着信音を聞くと、つい自分のケータイに手が行った。最近は、他人の迷惑を考えてマナーモードにすることが増えているので、ポケットのケータイがちょっと動いてもビクリとするのだ。
 なぜ、こんなことが起こるのか?
 現象が問題になり始めた当初のUSA Today(2007年6月12日付)は、“Good vibrations? Bad? None at all?”(よい振動か、悪い振動か、または振動は全くないのか)との記事を掲載。ケータイ会社は、勝手にケータイが振動することはない、とした上で、“Perhaps in the mind of the cellphone user only.” (たぶんケータイユーザーの心の中だけ)で感じられるのだろうと指摘した。
 ケータイを手放せなくなった今、心はいつも着信を待ち構えている…。

2013年3月25日月曜日

bullycide



 bullyは「いじめ」。cideは「殺人」を意味する連結形だが、suicide(自殺)を指す。bullycideはズバリ「いじめ自殺」。子供たちが学校でいじめられた末に自殺すること。
  Neil MarrとTim Fieldの2人の著者が3年間に渡って調査を行い、2001年に”Bullycide: Death
At Playtime”(いじめ自殺:遊び時間の死)を出版した。その中で、いじめで犠牲者が死に至るケースをbullycideと定義したことに始まるが、そのほとんどが自殺であることから「いじめ自殺」。
 米国のChristopher Burgess氏は、“Bullying: The 34 we lost in 2010 to Bullycide”(いじめ、2010年にわれわれは34人をいじめ自殺で失った)と米国の事情を報告している。
 その中で、“Bully, Bullying, Cyberbullying, and Bullycide – These four words continue to appear with ever greater frequency in the lexicon of the modern American family.”(いじめ、いじめること、インターネットのいじめ、そしていじめ自殺、この4つの言葉が現代のアメリカの家庭で非常に頻繁に使われる言葉になってしまった)と述べている。その悲惨な現実は日本と変わらない。そして、保護者や教師が抱える重い課題であることも。
 最近では、さらにallergy bullying(アレルギーいじめ)という言葉も出てきた。
 “Intimidating a person, particularly a schoolmate, by threatening exposure to a food that the person is allergic to”(食物アレルギーを持つ人、とくに学校のクラスメイトに対して、その食物にさらすように脅して怖がらせる)ことを意味している。
 CNN(2013年1月7日)は、“Allergy bullying: When food is a weapon”(アレルギーいじめ:食物が凶器となるとき)と報じた。Owen Kellog君は7歳でピーナッツのアレルギーがあるが、ある日泣いて家に帰ってきた。というのも、別の生徒がOwen君にピーナッツを食べさせようとしたからだった。食物アレルギーの子供は、アレルギーのある食物を食べたら死ぬ場合がるので、こうしたいじめは殺人に至るものだ。学校の安全をどうして確保するのか、厳しい事態に直面している。
 

2013年3月21日木曜日

woot or w00t



 wootはカタカナ読みで「ウート」。物事に成功したり、勝利したときの“a small cry of joy” (小さな歓声)を表現する新語である。日本語でいうと「やったあ!」。
 “Woot! Woot! Electrifying win!” (やったあ、やったあ。電撃的勝利だ)とか“Woot! We did it! Fantastic!”(やったあ。おれたちはやった。すばらしい)など、ツイッターやブログに頻出するが、最近は一般のメディアでも見られる。
 この言葉が使われるようになったのは1990年代。2007年にメリアム・ウェブスターの“Word of the Year”に選ばれたほか、2011年にオックスフォード英語辞典(OED)に登録された。
 だが、語源には諸説がある。語源研究者のマイケル・キニオン氏によると、世界中で楽しまれている米国発のファンタジーゲーム、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」のプレイヤーが宝物を見つけたときに上げる喜びの声、“Wow! Loot!”(わあ、戦利品だ)から来たという説がある。よく似た説では、ハッカーがコンピューターシステムに侵入し、“root”(ルートソース)までアクセスに成功したときに、“Woot, I have root!”(やったあ。ルートをつかんだ)といったのが始まりという。
 インターネット上では、この語の綴り字のwとtの間の2つのoを数字の0に変えてw00tとしている場合がある。これなどはキーボード(0はoの右斜め上にある)上の打ち間違えや遊び心を思わせるだけに、ネット起源は有力であろう。
 一方、ウェブスターの注では“We Owned the Other Team.”(われわれは相手方に勝った)という大文字の部分をつなげた言葉であるともいう。こうした略号は、ネットやケータイのテキスト語法で急増している。たとえば、LOL(laughing out loud=大声で笑う)は日本の「(笑)」に当たり、今では世界中に普及、辞書にも登録されている。
 ところで、歓声を表す一般的な英語はhurrahとかhurray(日本語ではフレー)。「わーっ」という歓声にふさわしい響きがあるように思うが、wootはいかがなものであろうか。