recidivistのカタカナ読みは「リシディヴィスト」。オックスフォード英語大辞典(OED)の定義では、“one who habitually relapses into crime” (常習的に犯罪に陥る人)。つまり、「常習犯」だが、日本の法律用語では「累犯者」に相当。recidivismは「常習的犯行」「累犯」である。
「常習犯」は日常会話ではhabitual offenderとか、chronic criminalという。recidivistは、「累犯」と同じで、正式の〝役所言葉〟である。たとえば、酔っ払い運転の常習者について、最近の地方紙に、“Woman jailed for ninth drink-drive conviction” (女は酒酔い運転の9回目の有罪判決で投獄)という記事が出た。その中で、“She was clearly a recidivist drink-driving offender.”(彼女は明らかに酒酔い運転違反の累犯者であった)と述べ、原因はchronic alcoholic(アルコール依存症)だったと指摘している。
recidivistは社会にとって大きな問題だが、実は〝役所〟にとっては、さらに大きな問題となっている。とくにリーマンショック(2008年9月)以来の不況の中で、州政府には、刑務所の財政負担がのしかかりrecidivismへの対策を急いでいる。ニューヨーク・タイムズ(1月24日付)は、“States Help Ex-Inmates Find Jobs”(州政府が元受刑者の職探しを助ける)と報じた。
たとえば、“Michigan spends $35,000 a year to keep someone in prison ― more than the cost of educating a University of Michigan student.”(ミシガン州が刑務所の囚人1人に年間で使う費用は3万5千ドルで、ミシガン大学の学生1人当たりより多い)という。1㌦=80円で換算しても年間280万円。その結果、州政府は年間約20億㌦(1600億円)の刑務所予算を計上してきた。そこで、この4年間は仮釈放の制度を弾力的に運用、職業あっせんを積極的に行い、囚人の数を7500人、全体の15%減らし、年間2億ドル以上の予算削減を果たしたという。“Michigan spends $56 million a year on various re-entry programs, including substance abuse treatment and job training.”(ミシガン州では、薬物乱用の治療や職業訓練を含めて、囚人のための様々な社会復帰のプログラムに年間5600万㌦を使っている)という。それでも、社会復帰して、真面目に勤めてもらえれば、財政負担軽減ともに一石二鳥で、“Smart Answers to Recidivism”(常習犯罪解決への賢い答え=2009年12月25日付けニューヨークタイムズの社説)の実現ということになる。
もっとも、全体的に見れば前科者に対する世間の風当たりは厳しい。投票権や親権も否定され、公営住宅への入居や〝生活保護〟も受けられない。社会復帰は苦難の道である。それだけに、“They become more comfortable behind bars than in the outside world.”(監獄にいる方が娑婆よりも居心地がよい)という現実が依然横たわっている。The Sankei Shimbun
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