casinoはcassinoとも綴る。日本語では「カジノ」だが、英語の読み方は「カッシーノ」。オックスフォード英語大辞典(OED)によると、語源はイタリア語のcasa(家)で、イタリアでは今でも「夏の別荘」を指す。元は、音楽を聴いたり、ダンスをする場所だったが、18世紀の終わりからgambling(賭博)もできるようになったという。
アメリカでcasinoといえば、ラスベガス。ウォールストリート・ジャーナル(2月8日付)は、“Shares of Las Vegas hotel and casino operators are poised to get a boost as consumers return to Sin City.”(ラスベガスのホテルやカジノ経営の株式が、消費者が〝悪徳の町〟に戻ってくることで、上げに転じそうだ)と報じた。Sin Cityは、賭博をはじめ合法、非合法の様々な悪徳がはびこる町という意味で、ラスベガスはその代表というわけ。
カジノ経営は景気動向に非常に敏感だ。“The industry's stock valuations fell precipitously during the worst of the recent recession as gamblers and tourists kept discretionary income off the gaming tables.”(最近の不況の最悪期には、ギャンブル客や旅行者が、自由に使える所得をゲームのテーブルから遠ざけたので、業界の株式の評価は急降下してしまった)。それが少し上向いて来たというのは、逆に景気回復の確かな足取りとも言える。
米国では、州政府によってgamblingが合法化されている。カジノが最初に合法化されたのは、1931年のネバダ州。ラスベガスは、その中心地として急速に発展した。その後、犯罪組織との抗争を経て規制を強化。1960年代から、カジノは合法的な産業として投資対象になり、今に至っている。
1976年には、ニュージャージー州がリゾートタウンのアトランティックシティに限って合法化。その後、各地に広がって行き、1990年代には、ルイジアナ、イリノイ州などでriverboat casino(川船のカジノ)も合法化された。一方、Native American、いわゆるインディアンのreservation(保留地)でもカジノは合法化され、インディアン部族の大きな収入源となっている。
American Gaming Association(AGM)によると、2008年にカジノ産業の総収入は320億㌦を上回った。そこから、諸経費のほかに140億㌦の賃金や給付金、56億㌦の税金を支払ったという。
もちろん、こうしたカジノの拡大、普及に対してanti-casino(反カジノ)運動も起こっている。犯罪を誘発し、道徳的にも好ましくないという主張である。だが、多くの場合、経済的利益の方が優先されるようだ。もっとも、儲かるのはcasino operatorであって、客が大儲けする確率は極めて低いことを明記しておきたい。ことわざに、”There is no better gambling than not to gamble.”(賭けないことにまさる賭けごとはなし)とあるが、カジノとはまさにそういう世界である。The Sankei Shimbun
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