parentは、お父さん・お母さんのことで「親」だが、原義は「子供を産んで育てること」。動詞として使うと、「子供を養育する」という意味になる。そこで、parentingは「子育て」。カタカナ読みは「ペアレンティング」。
parentingをめぐって、中国式かアメリカ式か、どちらが優れているか、という論議が起こっている。きっかけは、ウォールストリート・ジャーナル(1月8日付)に掲載された“Why Chinese Mothers Are Superior”(なぜ中国人の母親はすぐれているか)という〝挑戦的〟なエッセイ。筆者は中国系アメリカ人で、イェール・ロー・スクールの教授エミー・チャウ氏。新著に“Battle Hymn of the Tiger Mother”(タイガー・マザーの戦い賛歌)があり、その抜粋。自らをtiger motherと称して、2人の娘の子育ての奮闘ぶりを紹介した。
彼女が示す教育方針で、子どもに許さないのは、“attend a sleepover”(外泊する)“have a play date”(遊びのデート)“watch TV or play computer games”(テレビを見たりコンピューターゲームをする)“get any grade less than an A”(A以下の成績を取る)“play any instrument other than the piano or violin”(ピアノとバイオリン以外の楽器を演奏する)などである。最後の項目は、中国人特有の好みを象徴するものだが、その他の項目は、日本の教育ママの要求とほぼ同じだろう。
同紙は、これをDemanding Eastern parenting(厳しく要求する東洋式子育て)と呼ぶ。チャウ氏自身、そのような方針で育てられて超一流大学の教授にまでのし上がったのであり、ビシビシやらないと社会で成功できない、と語っている。
これに対して、米国式の一般的な子育ては、子どもの自主性を尊重するPermissive Western parenting(自由放任の西洋式子育て)。米国人の親の多くが、“Stressing academic success is not good for children.”(学業の成功を強調するのは子供にとってよくない)、そして、“Parents need to foster the idea that learning is fun.”(親は学習が楽しいとの考えを育てる必要がある)と考えている。それだけに、チャウ氏が、自分に逆らう7歳の娘をgarbage(ゴミ)と罵ったり、バイオリンで曲が演奏できるまで、何時間も水一杯飲まさず練習させ、ついに達成するやり方に対して、激しい反論が巻き起こっている。
タイム(1月31日号)は、“The Truth about Tiger Moms”(タイガー・マザーたちの正体)を特集。その中で、米国経済の不振を中国の隆盛に比べて、“Are we the losers she’s talking about?”(彼女が言うように私たちは負け犬なのか)という反省が起こっていると指摘。オバマ大統領も、今年の一般教書演説で、米国が世界でリーダーシップを取り続け、未来に成功するためには、“We also have to win the race to educate our kids.”(子どもの教育の競争にも勝たねばならない)と強調している。The Sankei Shimbun
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