locaはlocal(その土地の、地元の)の省略形で、ここでは地元産のワインやビールのこと。pourは「注ぐ」。locapourは「地元産のワインやビールをグラスに注ぐ」という意味で、“a person who drinks only locally produced wine or beer”(もっぱら地元産のワインやビールを飲む人)を指す。つまり「地酒ファン」。カタカナ読みは「ロカポア」。
カナダのグローブ・アンド・メール(1月5日付)は、“What You’ll Be Pouring in Your Glass in 2011”(2011年、あなたのグラスに注ぐもの)との記事で、北米でのlocapourの増加を取り上げた。カリフォルニア州のある食品関連業者は、“Consumers are beginning to forage for things they haven’t yet tried.”(消費者は、これまで試したことのないものを漁り始めている)と話す。forage(フォリッジ)は「飼料」という意味だが、動詞では「捜し回って手に入れる」こと。ねらい目は、あまり人に知られていないlocal wine(地元ワイン)やpremium beer from microbrewery(小規模醸造所で造られる極上ビール)だという。
ワシントン・ポスト(2010年10月19日付)は、“The State of ‘Locapour’ around Washington” (ワシントン周辺の地酒ファンの州)との記事を掲載。隣接するバージニア州のモーリーン・マクドネル知事夫人による〝地元ワイン〟の地元への売り込みを紹介している。彼女はいう。
“When I dine at restaurants and see that they don’t have Virginia wines on the list, I introduce myself to the manager and ask, ‘Why not?’”(私がレストランで食事をして、ワインリストにバージニア・ワインがないとき、支配人に自己紹介して、「なぜないのか」とたずねる)。「品質がよくなかったから」という返答が多いが、“Forget what you remember about Virginia wines and taste them anew.”( 昔のバージニア・ワインのことは忘れて、新たに味わってみて)と。品質改善が進んだので、決して捨てたものではないというわけ。
そして、記事では、“As the ‘eat local’ movement has taken root in restaurant kitchens across the country, a ‘drink local’ movement has blossomed as well.”(地元のものを食べる運動が全国のレストランの厨房に根を下ろしたように、地元のものを飲む運動も同様に花盛りだ)と指摘している。
ところで、locapourは、locavore(ロカヴォア)の〝姉妹語〟と言える。-voreは「がつがつ食う者」という意味で、locavoreは「地元でとれた食物(農・水産物)を食べる人」。いわゆる〝地産地消〟運動の先駆けを意味する言葉として、今ではすっかり定着したようだ。
英作家のバーナード・ショウは、“There is no love sincerer than the love of food.”(食物への愛ほど純粋な愛はない)と述べているが、地産地消は、郷土愛を育むことにもつながりそうだ。the Sankei Shimbun
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