Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
reduxはラテン語起源で、別の英語ではbrought back、「戻って来た」という意味の形容詞。「再来」「二の舞」など、ケースバイケースで訳す。カタカナ読みは「リダックス」。
National Journal(2013年1月10日付)は、"Can Obama and Karzai Avoid Iraq Redux?”(オバマ米大統領とカルザイ・アフガニスタン大統領は、イラクの〝二の舞〟を回避できるか?)と、今後のアフガン問題の進展に疑問を投げかけた。両首脳は1月11日にホワイトハウスで会談した。
”The White House would like to withdraw as many of the remaining 68,000 U.S. troops from Afghanistan as rapidly as possible between now and the end of 2014.”(米政府は、今から来年末までに6万8000人の米軍兵をできるだけ早く撤退させたい意向だ)
だが、撤退後のアフガンの治安はどうなるのか?タリバン側が再び勢力を取り戻し、過激化し、武装蜂起が頻発、米軍撤退後のイラクの二の舞になる恐れがあるという。さらに、最悪の場合にはカルザイ政権が打倒される可能性もなしとはしない。そこで、カルザイ氏は、引き続き金銭的な支援を求めている。もっとも、腐敗のはびこるカルザイ政権において、金銭的支援は、金をドブに捨てるようなもの、との指摘もなされている。オバマ氏は悩ましい選択を迫られよう。
ところで、米タイム誌(2011年12月5日号)の表紙の見出しはsunawachi
(革命再来)。記事は、“Months after ousting Mubarak, Egyptians rebel against military rule.”(ムバラク大統領を政権の座から追い出して数カ月後、エジプト人らは軍事支配に反抗する)という内容。つまり、“The revolution’s second act”(革命の第2幕)というわけ。2011年 エジプト革命は1月25日で1周年を迎えるが、Arab Spring(アラブの春)の合言葉であるdemocracy(民主主義)実現への道は、決して平坦ではないという教訓を与えた。
グローバルな視点でみると、中東世界で起こった〝アラブの春〟は、20世紀前半の社会主義革命以来のRevolution Reduxと評価された。その主張は、“No tyranny!”(独裁政治は不要)。一連の反政府抗議デモでは、独裁者は軍事力を背景に強権をふるい、国民に銃口を向けることも辞さないが、最後は抗議デモに屈することになった。タイム誌の2011年のPerson of the Year(その年の人)は、The Protester(抗議する人)だった。
しかし、アラブの春は2012年には、どう展開したか?エジプトでは、選挙で新たに選ばれたモルシ大統領に対しても、民主化活動家たちがNOを突きつけ、chaos redux (混乱の再来)。年末には、新憲法が承認されたが、今後の展開も予断を許さない。
“Many people across the world share the new call for revolution today.”(世界の多くの人々が今日、革命の新たな呼び掛けに賛同する)という状況は今も続いている。2013 年もevolution Reduxが各地(とくにロシア、中国)で起るだろう。“But a revolution may cause more problems than it will solve.”(だが、革命は解決するよりも多くの問題をもたらすかもしれない)。chaos reduxも覚悟しておかなくてはならない。
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