2015年8月4日火曜日

elder orphan ー 一人暮らしの果てに



elder(エルダー)はolderと同じで「年上の」「年配の」、orphan(オーファン)は「孤児」。elder orphanは「年配の孤児」である。

Word Spyによると、“An elderly person who has no family or whose family cannot or will not provide care”(家族や面倒を見てくれる家族がいない老人)。日本でいう、「一人暮らしの老人」「独居老人」であるが、それよりも捨てられたというニュアンスが強く、「孤老」とでもいうべきかもしれない。

CNN(2015年5月18日)は、“The 'elder orphans' of the Baby Boom generation”(ベビーブーマー世代の独居老人)で、“Although the problem of elder orphans has been known for a while, new research suggests just how bad it is. About 22% of Americans 65 years and older are in danger of becoming, or already are, in this situation.”(独居老人の問題はこのところ問題になっているが、新たな調査では、状況は深刻だ。65歳以上のアメリカ人の22%は、独居老人になる危険があるか、もしくはその状態である)という。

その最大の要因は、“Silver Tsunami”(シルバー・ツナミ)、すなわち「一挙に押し寄せる高齢化の波」である。若いころに結婚もせず、子供をつくらなければ、気楽な一人暮らしで、家族を世話する面倒はないが、自分が年を取っても、世話をしてくれる人はなく、最後はelder orphanとして人生を終わることになる…。


だが、そんなことを今さら言っても仕方がない。You only live once(YOLO=どうせ人生は一度きり)、Elder Orphans Club でも作って楽しくやろうよ!

2015年7月25日土曜日

It was a setup! ー「そいつはヤラセだ!」


日本語の「やらせ」の原型は動詞の「やらせる」。これを英語でいうと、強いてやらせるときはmakeを使って、make someone do something。自由にやらせるときはletを使って、Let him try.(あいつにやらせてみたら)などとなる。

だが、TVの番組が「やらせ」という場合は、「仕組まれた」という意味だから、makeやletは使えない。むしろ、「仕組む」という意味合いのset upから派生した名詞のsetup(セッタップ)がドンピシャ。見出語のIt was a setupは、「それは仕組まれたものだ」の意味で、不定冠詞のaが付くのがミソ。

一方、「やらせの」と形容詞的な表現はどうなるか?ここでsetupを使うのは違和感があり、この場合はstaged(ステイジド)がよく使われる。つまり、「(舞台のために)仕組まれた」というニュアンス。「やらせの交通事故による詐欺」は、fraud over staged car crashesである。

ところで、set upは、むろん普通に「何かをセットする」「組み立てる」などの意味でも使う便利なイディオム。“I’m setting up Windows 10 for my PC on July 29.” (7月29日にウインドウズ10をパソコンにセット・アップします。注:アップグレード版はタダですから)

俗語としてのset upは、上記の「やらせ」の結果として「はめる」「はめられた」となる。例えば、“You set me up!”といえば「オレをはめたな」となる。反対に“You were set up.”といえば「お前はハメられたのさ」である。いずれも過去の表現であるのが注意点。


EUが財政緊縮策を求めて来たギリシャで、欧州委員会と欧州中央銀行、そしてIMFとの債務交渉が再開されたが、その直前に突如辞任したバルファキス前財務相は、なぜギリシャがこんなことになったのかについて、こう言い放った。“We were set up.”(われわれはハメられたのさ)。

2015年7月21日火曜日

Bozo explosionーバカの連鎖



bozo(ボゥゾゥ)は「バカ」で、explosion(エクスプロゥジョン)「爆発」。会社で社長以下、正規社員のヒラに至るまで(注:非正規社員を除くのは、経営に責任を負わないから)、バカと腰抜けばかりになって、忠告する人もなければ、忠告を聞く人もなく、ヘボ会社になっていく…ということ。つまり、「バカの連鎖反応」である。

この言葉は、1990年ごろからシリコン・バレーで、バラ色の将来を背負ったstartup(操業開始の会社)が、バカなCEOを雇ったばかりに、取り巻きの役員もバカを雇い、その下の社員もバカ、という負の連鎖を起こすことを言った。

PalmのCEOだったEd Colliganは言う、“Avoid the bozo explosion”(バカの爆発は避けよ) “If you hire one clueless manager, you’re dead; that person will hire more bozos, and they’ll hire more.”(もし無能な支配人を雇えば、それで終りだ。そいつはきっとバカをよりたくさん雇い、さらにそいつらはもっと多く雇うから)

だが、ことはシリコンバレーにとどまらないようだ。日本を代表する東芝の体たらくは、まさにbozo explosionだ。第三者委員会が20日発表した不適切会計に関する調査報告は、2008年度から14年度まで、歴代社長が不正な利益操作に関与したことが明らかにしたが、前々社長が前社長を選び、前社長が今の社長を選んだわけであるから、結局、バカの連鎖が避けられなかった、ということだろう。


では、How to prevent bozo explosion? (バカの爆発を防ぐにはどうすればよいのか)。Guy Kawasaki, the chief evangelist of Canva, an online graphic design tool の答えは “Insist that managers hire better than themselves. This principle starts at the level of the board of directors when hiring the CEO.”(支配人は自分より優れた者を雇うことを主張せよ。この原則は、CEOを雇う役員会のレベルから始めること)

2015年1月14日水曜日

face detectionで、テロリストは捕まるか?


face は顔。detectionは、detective(探偵)と同じ語源で、detect(探し出す、検出する)の名詞形。face detectionは「顔を探し出すこと」、「顔の検出」。カメラが顔の位置を特定し、その部分を四角く囲ってデジタルイメージにスキャンするコンピューター技術のことだ。

実は、1月7日にパリで発生した仏紙シャルリー・エブド襲撃テロ事件以降、フランス国内をはじめ欧州各国の空港や国境、街角のsurveillance camera(監視カメラ)で、テロリスト追跡のためこの技術がフル稼働している。

この技術は、facial recognition system(顔認証システム)の一部で、データーベースにある容疑者の画像と照合し、一致すれば、「それ、犯人逮捕に出動せよ」ということになる。

顔は、指紋や目の虹彩と同じように一人ひとり皆違い、個人を特定するのに最も便利な身体の部分だ。顔を隠して歩く人は民主主義の国では少なく、我々の顔も知らないうちに監視カメラで捉えられている。

おまけに、FacebookなどSNS(social network service)では顔をcoming out(公開)するのが今や当たり前、smartphoneでselfie(自分撮り)してアップするなど、捜査当局にしてみれば、顔を追跡しない手はない、というわけだろう。

2001年1月にスーパーボウルが行われた米国フロリダ州のタンパで、捜査当局は街角に36台の監視カメラを設置し、Faceitというアプリを使って犯罪者を捜査する実験を行い、超満員のスタジアムで19人の犯罪容疑者を特定できたという。

それから14年経った今、世界中の空港、公共施設、ショッピングセンター、さらには地下鉄、エレベーターの中やトイレの出入り口まで、カメラが目を光らしており、face detectionが作動し、我々の顔はスキャンされていると考えてよい。

もちろん、こうした映像を恣意的に使用することはプライバシーの侵害になり法的に問題であるが、現実には顔を隠して外出しない限り、プライバシーを防衛するすべはないのだ。
今回テロ事件が起こったフランスでは、2010年にサルコジ大統領が「フランスでは(全身をすっぽり覆う)ブルカを受け入れない」と主張し、イスラムの女性が公共の場でスカーフで顔を覆い隠すことを禁止した。当時、仏マスコミは「ブルカは女性抑圧の象徴だ」などと賛同の声を上げたが、よく考えてみると、その禁止は信仰と表現の自由という根本的な権利の侵害である。それでも法律は可決、施行された。ここに来て、公共の場にはかならず監視カメラがあることを考えれば、テロ対策だった、と納得がいく。

もっとも、今回のテロ事件で一人残った女性容疑者は、face detectionのフル稼働以前に国外へ逃走、その後シリア入りしたとされるのだが・・・。



2014年12月2日火曜日

big data と small data

 

 
 small dataは「小さなデータ」で、いわゆるbig data(ビッグデータ)に対する言葉。
 では、ビッグデータとは何か?というと、総務省のHPには開口一番、「事業に役立つ知見を導出するためのデータ」とした上で、ビッグデータビジネスという新事業に言及し、「ビッグデータを用いて社会・経済の問題解決や、業務の付加価値向上を行う、あるいは支援する事業」と定義の例を引用している。何のことかさっぱり分からない。
 そこで、ランダムハウス辞書を見ると、“data sets, typically consisting of billions or trillions of records, that are so vast and complex that they require new and powerful computational resources to process” (データの集合、とくに何十億、何兆もの記録からなるもので、あまりにも膨大で複雑なために新たな強力なコンピューターによる処理が要求される)と定義、限りなく大きなデータということだけ、やっと分かった。そこで、巨大なデータを利用して商売に結びつけようという、上記の定義も何となく分かったような気もする。
 だが、実は、small dataの集合こそがbig dataなのだ。すなわち、small dataは“the data generated by an individual or small company”(個人や個々の会社が生み出すデータ=Word Spy) で、その特徴は“Small data typically provides information that answers a specific question or addresses a specific problem.”(スモールデータは、特別な質問に答えたり、特別な課題に対処する情報を提供する)ということなのだ。このデータは本来、個人や個々の会社に帰属するものであり、privacy(プライバシー)の観点からすれば、第3者が利用することは法律的に容認されない。
 例えば、スモールデータには、“metadata about you: your cookies, your web search history, your Amazon clicks and so on”(あなたに関するメタデータ:あなたのウェブ検索履歴、アマゾンのクリックなど)が含まれるが、企業としてはこれをそのまま活用したい、というのが本音なのだ。しかし、プライバシーの壁があるので、“Small data consists of usable chunks.”(スモールデータは活用できるかたまりからなり立っている)という理屈をひねり出し、これを集めてビッグデータと銘打って大々的に使おうという考え方が、ビッグデータビジネスであると言える。

 data leak、data spill(情報漏洩)やdata theft(データの窃盗)が日常茶飯事となった今日、ビッグデータを解放したアメリカは、もはや個人のdata privacy(データのプライバシー)を守ることができない社会になっているのだ。それは、big dataの活用に名を借りたsmall dataの乱用だからである。
 *「アメリカを読む辞書」を再開します。

2014年1月4日土曜日

dessert stomach 「別腹」と睡眠障害の意外な関係!


dessert は食後の「デザート」で、通常甘いお菓子が出る。この語源は16世紀に遡り、desservir というフランス語で、本来の意味は des- = “undo” + servir = “to serve”。つまり、これで出される食事は最後で、“clear the table”(テーブルを片付ける)というわけ。stomack は「胃袋」なのだが、dessert が入る stomach という意味で「別腹」となる。

別腹とは、お腹いっぱいの状態でも好きな食べ物、とくに甘いものは食べられることを意味する言葉。「ケーキは別腹だから大丈夫」などという。同じことを英語でも表現する。“No matter how stuffed you are after the main course you always have room for a little dessert.”(メーンのコースの後でどれだけ腹が一杯でも、いつでもちょっとしたデザートの入る余地がある) その通り。だが、“Why do you always have room for dessert?”(なぜ、いつでもデザートの入る余地があるのか)

ScienceNordic(2011年12月19日付)によると、ノルウェーのLovisenberg Diakonale Hospitalの Arnold Berstad 医師は、この別腹現象を研究した結果、“The sugar in sweet foods stimulates a reflex that expands your stomach.”(甘い食物の中の砂糖が、胃を拡張させる反射神経を刺激する)と指摘している。胃袋は伸び縮みする構造であり、一杯になったと感じる場合でも上部の壁面には緩む余地がある。“It appears that three factors collaborate in triggering the relaxing reflex.”(反射神経を緩める作用の引き金を引くのは、3つの要素が関与しているらしい)と Berstad 医師はいう。

“First of all, the sight and smell of food and the process of chewing and swallowing it have an effect. Secondly, the pressure of food against the stomach has its important impact. And thirdly, the duodenum “tastes” the components of the food.”(まず第一に、食物の見た目や臭い、それを噛んで飲み込む過程が影響する。二番目に食物が胃にあたる圧力が重要なインパクトとなる。そして、三番目に十二指腸が食物の成分を“味わう”)

これらの情報が神経細胞を通って脳細胞に伝達される。そして、脳は砂糖、あるいはグルコースを良しと判断、胃を緩めるという。では、このとき脳細胞ではいったい何が起こっているのか。実は、orexin(オレキシン)というホルモンが関係しているのである。最近の研究によると、こうだ。

“When you are getting a piece of cake or even begin to think about eating something sweet, the hormone levels of orexin skyrocket leaving you unable to control your urge to eat cake.”(ケーキを一切れもらうか、あるいは何か甘いものを食べることを考え始めただけで、オレキシンのホルモンのレベルが急上昇して、ケーキを食べたい衝動を抑えられなくなる) そして、オレキシンは胃の壁を緩めてケーキのためのスペースを作るというわけ。

オレキシンは、hypocretin(ヒポクレティン)とも呼ばれ、視床下部から分泌される神経伝達物質で覚醒、意識、食欲を統御する。これを分泌する神経が破壊されると、睡眠障害の一種である narcolepsy(ナルコレプシー症状)を引き起こす。睡眠サイクルが正常にコントロールされず、寝るとすぐ(5分くらい)でレム睡眠状態に入り、中途で覚醒が起こる一方、脳の一部はなお眠っており、sleep paralysis(金縛り)の現象や幻覚、幻聴などの症状が発生する。また、異常な喜びや幸福感の後で脱力を引き起こす cataplexy(情動脱力発作)をともなうケースが多いという。

ナルコレプシーは、症状だけを見れば精神障害とも誤診されかねない。だが、1998年に櫻井武(現・金沢大学大学院医学系研究科教授)と柳沢正史(テキサス大学サウスウェスタン医学センター教授)らのグループによって、オレキシン遺伝子を破壊したマウスにはナルコレプシー症状が現れることが明らかにされ、その欠乏によって発生することが突き止められた。(ウィキペディア)

テキサス大学サウスウェスタン医学センターのグループは、オレキシンの名称を、その作用である食欲促進である orexigenic から思いついたそうだが、今やこのオレキシンは、様々な病気の鍵を握ると思われる注目のホルモンなのである。

2013年12月14日土曜日

illusionとdelusion 違いは?


illusion or delusion?
どちらも、“mental experiences that appear realistic or believable but have, despite their vividness, no objective reality”(現実のように、信じられるように見える心の経験であるが、その鮮やかさに関わらず、客観的な現実の裏付けはない) 英和辞典によると、illusionを幻影、まぼろし、あるいは思い(勘)違い、錯覚などと訳す一方、delusionを迷い、惑い、妄想、思い違いなどとしている。英語の辞書でも両者は同義語であり、混用されるケースも多い。だが、両者には明確な違いがあるのだ。

illusionの語源は14世紀にさかのぼり、act of deception(欺瞞行為)を指す。それによって人をmock at(嘲る)という。つまり、騙しの要素がある。そこで「まぼろし」という訳が出て来るわけ。一方、delusionは、15世紀に生まれた言葉で、語源はact of misleading someone(人を誤った方向へ導く行為)。その結果、その人は mental derangement(精神的な錯誤)に陥るという。つまり、その人の心の働きによりもたらされるものだから「迷い」「妄想」などと訳せる。

さて、ZDNet (2013年11月25日付)は、“Are virtual currencies reality or illusion?”(仮想通貨は現実のものか、あるいはだまくらかしの幻想か)との記事を掲載した。virtual currency(仮想通貨)とは、Bitcoinなどネットで流通する新しい通貨をいう。“Federal Reserve chairman Ben Bernanke's earlier statement is that such currencies ‘may hold long-term promise, particularly if the innovations promote a faster, more secure and more efficient payment system.’”(アメリカ連邦準備制度理事会のバーナンキ議長の初期の声明では、そうした通貨はとりわけ、技術革新がより早く、より安全な、より効率的な支払いシステムを促進するならば、長期的には見込みがあるかもしれない、としている) しかし、“Within days of all this optimism, a collapse in the yuan-denominated market for Bitcoins in China, triggered by a wave of panic and profit-taking, brought investors back down to earth.”(この楽観的なムードの中で、中国の元建てビットコイン市場が、パニックと利食い売りの波が引き金となって暴落、投資家は徹底的に叩きのめされた) back down to earthは「現実に引き戻される」という意味。筆者のこれまでの結論は、仮想通貨はillusionである。

このほか、“Life is only illusion.”(人生はまぼろしにすぎない)などという表現もできる。よく使われる optical illusion は錯視。

一方、AP通信(2013年12月7日付)は、“Idolizing dead celebrities an exercise in self-delusion”(死んだ有名人を偶像化することは自己欺瞞の業)との見出しで、例を挙げている。ケネディ大統領の場合、“Had he lived, John F. Kennedy would have ended the Vietnam War, ushered in a new era of tolerance and respect and become the proud mascot for a generation of young people devoted to public service.”(もし彼が生きていたら、JFKはベトナム戦争を終結させて、寛容と尊敬の新時代を生み出して、社会に貢献する若者世代の誇れるマスコットになったであろう) だが、事実は逆。米国史上屈指の好戦的な大統領で、米ソ冷戦を助長して泥沼のベトナム戦争に突入、キューバ危機を招き、さらに宇宙戦争まで招来しようとした。マリリン・モンローとの情事で有名となり、1963年11月22日にテキサス州ダラスで暗殺された。

そのほかの用例では、“Prime Minister Shinzo Abe is under the delusion of ‘Rich Country, Strong Military,’ peddling its illusion.” なんちゃって。