Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
cloudは「雲」のことだが、ここでは比ゆ的にinternetを指す。1990年代以来、パソコンが急速に大衆化し、インターネットは今や全世界を包み込む巨大なコンピューターの〝集積回路〟に成長、そのイメージはまさに、モクモクと発達する「雲」だ。computingは「コンピューターの利用」。そこで、cloud computingは「インターネットでのコンピューター技術の利用」。カタカナ読みは「クラウド・コンピューティング」。
これだけでは何とも〝雲をつかむ〟ような話だが、英・タイムズ(2008年5月5日付)の説明によると、“The concept is that vast computing resources will reside somewhere out there in the ether (rather than in your computer room) and we’ll connect to them and use them as needed.”(その考え方は、コンピューターのリソースが、あなたのコンピューターではなくネット上のどこかにあり、われわれは必要に応じて、そこへ接続して利用するということ)。つまり、cloud computingとは、ユーザーがネットを通じてどんなプログラムでも一時的に〝レンタル〟、高度な計算からデータの検索、ゲームなどのコンピューティング・サービスを受ける仕組みであるといえる。
“Computing Heads for the Clouds”(コンピューティングは〝雲〟に向かう=ビジネスウィーク)は、新たなトレンドで、IBM、Yahoo!、Googleなどがいっせいに事業化に乗り出している。
中でも最近注目を集めているのがMicrosoft。PCワールド(2008年8月4日付)は、“Cloud Computing, Microsoft’s Midori, and the End of Windows”(クラウド・コンピューティング、マイクロソフトの〝ミドリ〟とウインドウズの終焉)と報じた。同社は、主流であるウインドウズの後継OSを模索している。その開発研究の1つが、コードネームで“Midori”と呼ばれるプロジェクトだ。実態はもちろん企業秘密で、容易にうかがい知れないが、“Microsoft intends the long-range OS to be ready for a virtualized, cloud-computing user base.”(マイクロソフトは長期的なOSとして、バーチャル化したクラウド・コンピューティングのユーザー・ベースでの対応を目指している)と述べている。
high-speedのブロードバンドが、世界の隅々にまで行き渡り名実ともにオンライン接続するとき、“The services are accessible anywhere in the world, with the Cloud appearing as a single point of access for all the computing needs of consumers.”(消費者が必要とするコンピューティング・サービスは、どのアクセスポイントからでも〝雲〟の中に入ることができ、世界中のどこでも提供される)という夢の実現に期待はふくらむ。だが、“A promise is a cloud, fulfillment is rain.”(約束は雲のようなもので、結果はどしゃ降り)ということもあると、言い添えておく。The Sankei Shimbun(August 24 2008)