Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
assaultはカタカナ読みで「アソールト」。英和辞書では「強襲」「暴行」などと訳される名詞、動詞で、突然襲い掛かること。誰が誰に襲い掛かるのか、で意味は大きく違ってくる。近ごろは男性が女性に襲い掛かるケースを指してassaultという場合が多い。sexual assault(性的暴行)ともいう。だが、この言葉は日本語の「婦女暴行」と同様、役所やメディアが常用するあいまい表現で、“weasel word”(イタチ言葉=イタチはタマゴの中身だけを吸い取って食べ、殻を残すといわれることから、内容を明示しない言葉をいう)に属する。sexual assaultの主な実態はrape(強姦)である。形容詞としてbrutal (野蛮な)、indecent(下品な)を伴うことが多い。
国防総省はこのほど、2006‐07年度の米軍内部での“the sexual assault reports”(性的暴行の報告)を発表した。そこではsexual assaultを、女性兵士・職員に対するrape(強姦)、indecent assault(強制わいせつ)、attempt(未遂)、さらに男性に対するsodomy(強制的男色)に分類。報告総数は2688件で、前年度の2947件に比べて約9%減少したという。内訳は陸軍が1516件、空軍が565件、海軍が394件、海兵隊が213件となっている。陸軍はざっと51万8000人いるから、1000人当たりで2・9件の報告で、あとは大体1000人に対し1~2件。この数字を多いと見るか、少ないと見るか、意見は分かれそうだが、あくまで報告に基づいて当局が調査した件数である。
この報告が発表されるようになったのは、2005年に国防総省内に“Sexual Assault Prevention and Response Office”(SAPRO=性的暴行防止対策局)が設置されてから。米軍でもセクハラが大きな問題になり、これまで内部的に処理されてきた問題や事件を正面から取り上げざるを得なくなった。SAPROは、個々の事案を調査するとともに、“Prevention through training and education programs”(教育訓練プログラムによる防止)と“Treatment and support of victims”(被害者のケアとサポート)などを実施している。
米軍だけではない。2006‐07年度の“Annual Report of Sexual Harassment and Violence at the U.S. Military Academies”(米軍士官学校でのセクハラと暴力に関する年次報告)によると、士官候補生に対するsexual assault も問題になっており、どういう状況で暴行事件が起こるのか、より具体的な内容が示されている。各士官学校の報告に共通するのは、“Use of Alcohol”(アルコールの使用)つまり〝飲酒〟。酒を飲んだ勢いでわいせつ行為に及び暴行事件に発展するケースが非常に多いという。
それだけに、教育訓練で教えるのは、“Alcohol is never an excuse for unacceptable behavior.”(悪いことをして酒のせいにするな)で、自己コントロールができないのならば、酒を飲むなという教訓である。The Sankei Shimbun (March 30 2008) 「グローバル・English」はこちらへ
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