2012年5月2日水曜日

tightwad






 tightwadはカタカナ読みでは「タイトワド」。米国生まれの英語で「けちんぼ」「しみったれ」などと訳される名詞。tightはぎゅっと締まっている状態を表す形容詞で、wadは「束」。語源は1900年ごろで、札束か何かを握りしめている様子を指したようだ。だから「締まり屋」でもある。
 tightwadの反対語はspendthrift。thriftは「倹約」「節約」という名詞だが、この場合は倹約して貯めたものを指し、それをパッとspend(遣う)ので「無駄遣い」であり「浪費家」を意味する。米国人は“Consumption is a virtue.”(消費は美徳)をキャッチフレーズに、消費生活を謳歌してきた。貯蓄率も低く、クレジットカードを使って、稼ぐ以上に買い物をする人が多く、spendthriftであると自他共に認めてきた。ところが最近、この傾向にブレーキが掛かり始めたという。
 サイエンス・デイリー(2008年3月17日付)は“Tightwads Outnumber Spendthrifts”(ケチが無駄遣いをしのぐ)と報じた。ペンシルベニア大学の研究者らが1万3327人を対象に調査したところ、tightwadとspendthriftの割合は3対2であったという。これは、予想外の結果であった。
 調査の中身を見ると、女性より男性の方がケチの割合が高く、“Males are nearly three times more likely to be tightwads than spendthrifts.”(男のケチは無駄遣いの約3倍以上)だそうだ。また、若い人より年寄りの方がケチで、70歳以上のケチは無駄遣いの5倍に上る。70歳以上の高齢者でジャンジャン稼ぐというのはまれで、不慮の事態に備えて、どうしても出費を抑えるようになるからだ。高齢社会では当然のことである。
 だが“Annual income differs little between tightwads and spendthrifts.”(ケチと無駄遣いの間で年間所得の差はほとんどない)。つまり金遣いは稼ぎに関係なしという。米国人は本当にケチになり始めているのだろうか?
 もしそうならば、背景にあるのはやはり住宅バブルの崩壊だ。クリントン政権のルービン元財務長官は公共放送ラジオ(NPR)のインタビューで“When home prices fall people feel less affluent.”(住宅価格が下がると、豊かさは実感できなくなる)と指摘しており、統計を見ても消費者心理に影響が出始めている。さらに、ドル安の影響でガソリン価格をはじめ物価は上昇しており、一部には“stagflation”(不況下のインフレ)を指摘する声も上っている。
 インターネット上では、“frugal life”(倹約生活)を推奨するサイトが注目を集めるようになった。“Frugal living means smarter spending.”(倹約して暮らすには、賢い金の使い方を)と、1㌣でも安い買い物をしようという人たちは増えている。“Do you hate to spend money? You’re not alone!”(お金を遣いたくない?あなただけじゃない!)が次のキャッチフレーズかも。The Sankei Shimbun (April 13 2008)

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