Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
containは「含む」「入っている」という動詞。日本語のコンテナ(英語はcontainer)は「入れもの」「容器」である。語源はラテン語のcontinereで、英語ではhold together(一緒に保つ)、enclose(囲む)。これが軍事用語に転用され、「封じ込める」「抑制する」という意味で使われる。カタカナ読みは「カンテイン」。
東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の事故が、世界の注目を集めている。その最大の関心事はnuclear meltdown(原子炉の炉心溶融)であり、英語メディアはいっせいに、“Japan works to contain nuclear reactor meltdowns.”(日本は原子炉のメルトダウンを食い止める作業をしている)などと報じた。
カナダのグローブ・アンド・メール(3月14日付)は、“Battle On to Contain Japan’s Nuclear Threat”(日本の核の脅威を封じ込める戦いは続く)と報道。その戦いとは、“Nuclear plant operators were flooding shut-down reactors with cold water, including sea water in some cases.”(原子力発電所の管理者らは、停止した原子炉に冷水、場合によっては海水も浴びせていた)というもの。自衛隊、消防、警察の関係者も加わって作業は続けられた。その理由は、“To keep temperatures down and prevent explosions that could spread radioactive contamination across the country.”(温度を低く保って、放射性汚染が各地に広がる恐れのある爆発を防ぐため)である。
だがその後、“New Reactor Fire as Japan Works to Contain Threat”(日本が脅威を封じ込める作業をする中で、新たな原子炉の火災=3月15日付AP通信)という事態になった。作業は難航し、放射線が外部に流出。ドイツ通信社(同日付)は、“Japan N-Reactor Containment May Be Damaged, Says IAEA”と伝えた。IAEAはInternational Atomic Energy Agency(国際原子力機関)で、ウィーンに本部がある。containmentは「封じ込め」という名詞。「日本の原子炉の封じ込めに被害のもよう」とIAEAが言ったのは、放射線の流出を防ぐ格納容器が損傷したことを指す。
さて、ブルームバーグ(同日付)は、“BOJ Fails to Contain Investor Panic as Nuclear Risk Rises”と報道。BOJはBank of Japan(日本銀行)で、「核のリスクが高まる中で、日銀は投資家のパニックを抑制できない」という。放射線流出のリスクが高まり、株式市場が暴落するなど金融市場の混乱を防げなかったことを示している。
さて、containmentは、外交では「封じ込め政策」のこと。第2次大戦後、米国はソビエト連邦を新たな全体主義への挑戦と見て、政治、経済、軍事力を駆使して共産主義勢力の拡大を封じ込めようとした。その結果、冷戦(Cold War)が続くが、nuclear weapon(核兵器)を使ったHot War(熱戦)は何とか阻止されたのである。The Sankei Shimbun (May 28 2011)
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