2015年7月25日土曜日

It was a setup! ー「そいつはヤラセだ!」


日本語の「やらせ」の原型は動詞の「やらせる」。これを英語でいうと、強いてやらせるときはmakeを使って、make someone do something。自由にやらせるときはletを使って、Let him try.(あいつにやらせてみたら)などとなる。

だが、TVの番組が「やらせ」という場合は、「仕組まれた」という意味だから、makeやletは使えない。むしろ、「仕組む」という意味合いのset upから派生した名詞のsetup(セッタップ)がドンピシャ。見出語のIt was a setupは、「それは仕組まれたものだ」の意味で、不定冠詞のaが付くのがミソ。

一方、「やらせの」と形容詞的な表現はどうなるか?ここでsetupを使うのは違和感があり、この場合はstaged(ステイジド)がよく使われる。つまり、「(舞台のために)仕組まれた」というニュアンス。「やらせの交通事故による詐欺」は、fraud over staged car crashesである。

ところで、set upは、むろん普通に「何かをセットする」「組み立てる」などの意味でも使う便利なイディオム。“I’m setting up Windows 10 for my PC on July 29.” (7月29日にウインドウズ10をパソコンにセット・アップします。注:アップグレード版はタダですから)

俗語としてのset upは、上記の「やらせ」の結果として「はめる」「はめられた」となる。例えば、“You set me up!”といえば「オレをはめたな」となる。反対に“You were set up.”といえば「お前はハメられたのさ」である。いずれも過去の表現であるのが注意点。


EUが財政緊縮策を求めて来たギリシャで、欧州委員会と欧州中央銀行、そしてIMFとの債務交渉が再開されたが、その直前に突如辞任したバルファキス前財務相は、なぜギリシャがこんなことになったのかについて、こう言い放った。“We were set up.”(われわれはハメられたのさ)。

2015年7月21日火曜日

Bozo explosionーバカの連鎖



bozo(ボゥゾゥ)は「バカ」で、explosion(エクスプロゥジョン)「爆発」。会社で社長以下、正規社員のヒラに至るまで(注:非正規社員を除くのは、経営に責任を負わないから)、バカと腰抜けばかりになって、忠告する人もなければ、忠告を聞く人もなく、ヘボ会社になっていく…ということ。つまり、「バカの連鎖反応」である。

この言葉は、1990年ごろからシリコン・バレーで、バラ色の将来を背負ったstartup(操業開始の会社)が、バカなCEOを雇ったばかりに、取り巻きの役員もバカを雇い、その下の社員もバカ、という負の連鎖を起こすことを言った。

PalmのCEOだったEd Colliganは言う、“Avoid the bozo explosion”(バカの爆発は避けよ) “If you hire one clueless manager, you’re dead; that person will hire more bozos, and they’ll hire more.”(もし無能な支配人を雇えば、それで終りだ。そいつはきっとバカをよりたくさん雇い、さらにそいつらはもっと多く雇うから)

だが、ことはシリコンバレーにとどまらないようだ。日本を代表する東芝の体たらくは、まさにbozo explosionだ。第三者委員会が20日発表した不適切会計に関する調査報告は、2008年度から14年度まで、歴代社長が不正な利益操作に関与したことが明らかにしたが、前々社長が前社長を選び、前社長が今の社長を選んだわけであるから、結局、バカの連鎖が避けられなかった、ということだろう。


では、How to prevent bozo explosion? (バカの爆発を防ぐにはどうすればよいのか)。Guy Kawasaki, the chief evangelist of Canva, an online graphic design tool の答えは “Insist that managers hire better than themselves. This principle starts at the level of the board of directors when hiring the CEO.”(支配人は自分より優れた者を雇うことを主張せよ。この原則は、CEOを雇う役員会のレベルから始めること)